八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第四十四話 型その八
「あのシリーズはな」
「あっという間に終わったけれど凄かったな」
「ある意味においてな」
「相手は三十三点、こっちは四点」
「打たれまくって打てない」
「何か相手のランナーだけどんどん帰って来てな」
「こっちは一人も帰って来ない」
たった四人だけ帰って来た、四試合合わせて。
「しかも甲子園での胴上げ」
「バレンタイン監督高々と舞ったな」
「俺あの光景忘れられないぜ」
「俺もだよ」
「まさに伝説のシリーズ」
「あんなシリーズ他にないだと」
「うん、調べたらね」
それこそとだ、僕も皆に答えた。
「なかったよ」
「だろうな、あそこまでの惨敗ねえよ」
「阪神だけだろ、シリーズであそこまで負けたのは」
「壮絶な負けだったな」
「もう二度とあんなシリーズ見たくないぜ」
「そうだよね、去年は日本一になったけれど」
それでもだ、僕もファンとして思いその思いを言葉に出した。
「それでもね」
「あそこまでの敗北はな」
「もう二度と御免だぜ」
「シリーズは晴れやかに勝ちたいよ」
「本当にな」
「七戦までいってもな」
ここで以前の阪神ファンならせめて五戦までとか思ったしそして言葉として出した。けれど日本一を経験にして今年も好調だとだ。
「日本一になりたいな」
「全くだぜ」
「二連覇な」
「そしてそこからさらに三連覇」
「目指せ十連覇」
「巨人なんかの記録は塗り替えろ」
何が九連覇だと思う、巨人が九連覇を果たしてあの時代は球界だけでなく日本にとってもそれだけで暗い時代ではないだろうか。
「そう思うね、僕も」
「だろ?大家も」
「巨人なんかが持ってる記録は塗り変えないとな」
「それは阪神の仕事だろ」
「巨人がやると全部汚れるんだよ」
極論まで出た。
「巨人討つべし」
「今年は勝率はこのままでな」
「一シーズン敗戦記録を達成させてやれ」
「今年も優勝は阪神だぜ」
「そうだね、そして最下位は巨人」
去年に続いてだ。
「まあ巨人の最下位は確定かな」
「昨日の負けで二十連敗か」
「日本の連敗記録更新したな」
「十試合連続被二桁得点差負けでな」
「この二十試合辺りの打率は二割三分」
「エラーは合わせて三十七」
もう何もかもが崩壊している、今の巨人は。
「見ていて楽しいよな」
「巨人って負ける姿が似合うよな」
「あんなに負ける姿が似合うチームないだろ」
阪神は勝っても負けても絵になる、けれど巨人は負けないと絵にならない。あれだけ無様な敗北が似合うスポーツチームは他にはない。
「いや、巨人負ける姿見ると元気が出るな」
「思いきり頑張れるよな」
「飯は美味いし楽しく眠れる」
「巨人の負けっていいぜ」
「最高だぜ」
昨日の巨人の敗北を思い出してだ、実際に皆も元気になっていた。そして部長もだった。
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