八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第四十三話 朝のランニングその八
「それじゃあね」
「明日の朝ネ」
「三人で走るあるよ」
「朝から気持ちよく汗をかク」
「これがまたいいあるよ」
「それもいいかな、そういえば」
僕は二人に言われたところでこうしたことを思い出した。
「朝走る人もいるね」
「そう、健康にいいシ」
「気持ちいいある」
「朝から一気にやる気が出るのヨ」
「お勧めあるよ」
「そうだね、健康で気持ちいい朝からだね」
僕も二人の話を聞いて言った。
「何といっても」
「だからいいネ」
「明日の朝は走るあるよ、三人で」
「それじゃあね、じゃあ明日は」
三人で朝早く走ることを約束した、このことを約束してだった。後は三人で適当なことを話して昼の休み時間を過ごした。
そして八条荘に帰るとだ、お庭でだった。
井上さんが雑草を抜いていた、ジャージ姿で麦わら帽子を被って。
その井上さんを見てだ、僕は本人のところに言って尋ねた。
「あの、一体」
「何をしているか、か」
「はい、どうされたんですか?」
「まず私のしていることはだ」
このことからだ、井上さんは僕に答えた。
「草むしりだ」
「そのことはわかりますけれど」
「何故しているか、だな」
「はい、どうしてですか?」
「今日実は登校の時に見たのだ」
井上さんは剣道部だ、その部活に出る為に登校する時にというのだ。
「雑草が少し生えているのをな、それでだ」
「帰られてからですか」
「使用人の方々にお願いしてだ」
「草むしりをしているんですか」
「させてもらっている」
しているのじゃなかった。
「そうなのだ」
「させてもらっているって」
「修行だ、これも」
「修行ですか」
「己を磨く為のな」
それになるというのだ。
「だから今こうしているのだ」
「そうですか」
「実は禅もしている」
「ああ、仏教の」
「西郷隆盛殿がしておられたしな」
井上さんはこの人の名前も出した。
「禅は」
「それで井上さんも」
「禅はいい」
物凄く求道的な言葉に聞こえた、禅というだけで。
「心が清らかになり研ぎ澄まされる」
「そういうものなんですね」
「君もしてみるか、一度」
「僕もですか」
「そうだ、一度でいい」
あまり強い言葉ではなかった、井上さんの今の言葉は。
「してみるか」
「そうですね、機会があれば」
「寺に行ってか」
「してみます、ただ」
「ただ?何だ?」
「座禅って痺れないですか?足が」
僕はこのことが少し不安になって井上さんに尋ねた。
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