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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第四十三話 朝のランニングその七

「ちょっとネ」
「困惑したあるよ」
「また何で急に言ったカ」
「謎だったあるが」
「井上さんってね」
 僕はここで井上さんのことを話した。
「急に言うことがあるんだ」
「そうなノ」
「思いつきで言う人あるか」
「時々ね、自分がいいと思ったら」
 まさにその時はなのだ、風紀部の人から聞いたことだ。
「すぐに言うんだ、ただね」
「止められたらなノ」
「ああして止まるあるな」
「すぐに言うけれど暴走とか独断はしないから」
 人の言葉は聞くのだ、井上さんは。
「大丈夫だってね」
「言われたのネ」
「そうあるな」
「そうなんだよ、ただ悪い人じゃないんだ」
「ああ、そのことはネ」
「よくわかるある」
 二人も僕のその言葉には納得してくれた、というか肌で実感していてだ。そのうえでこう言ったのだった。
「意地悪とかはしなくテ」
「公平あるな」
「人が嫌がることはしなイ」
「そこも守っている人ある」
「そのことでも有名な人だから」
 とにかく品行方正な人だ、四角四面かも知れないけれど。
「人の話も聞いてくれるし」
「困ったところがあっても極端じゃなイ」
「そのこともわかったある」
「じゃあ今回のことハ」
「特に気にしないある」
 二人は僕の話に納得してくれた、そして。
 あらためてだ、僕に二人で言って来た。
「それでネ」
「明日あるが」
「一つ一緒に走らなイ?」
「あっ、それ私が言おうと思ったことあるよ」
 水蓮さんは先に言ったジューンさんに少し唇を尖らせて突っ込みを入れた。
「二人で走ろうってある」
「いや、二人で走るのはネ」
「義和とジューンあるか」
「そう、ワタシと義和」
 笑ってだ、ジューンさんは水蓮さんに答えた。
「そう考えてるけれド」
「いや、それは私あるよ」
「水蓮と?」
「そう、義和ある」
 水蓮さんは少しむっとした顔にもなって言った。
「そう言おうと思ったあるよ」
「ううん、同じネ」
「そうあるな」
「じゃあここはネ」
 ジューンさんは水蓮さんの言葉からその考えを受けてだった、そしてだった。僕を見てから彼女にあらためて言った。
「三人、どウ?」
「私とジューンと、あるな」
「義和、これでいいでしョ」
「それならいいある」
 水蓮さんも納得してくれた、けれど。
 ここでだ、僕に二人で言って来た。
「それで決まったけれド」
「どうあるか?」
「いや、決めたの二人じゃない」
 僕は二人にまずはこう返した。
「だからね」
「嫌とカ?」
「そうあるか?」
「そうも言ってないよ」
「じゃあいいネ」
「いいあるな」
「うん、まあね」
 実は朝早く起きるとなると少し、とも思ったけれどだ。それでも朝早くから走るのもいいかと思って二人に答えた。 
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