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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第四十三話 朝のランニングその四

「東京はそうですね」
「噛まずに喉越しを楽しみますが」
「あれも大阪ではないですね」
「大阪では噛みます」
 お蕎麦、それをというのだ。
「しっかりと」
「そこも違うんですね」
「大阪のお蕎麦はおつゆに昆布を入れています」
「その分だけ味が違うんですね」
「そのこともあります」
「ううん、では大阪ではお蕎麦を噛まないことは」
「ありません」
 畑中さんは詩織さんにはっきりと言い切った。
「それでは消化にも悪いです」
「確かに。言われてみれば」
「そしてお寿司もです、大阪の方が美味しいのです」
「ですがお寿司は」
 今度は小夜子さんが畑中さんに言った。
「東京がはじまりでは」
「そうです、今主流の握り寿司は」
「そうですよね」
「江戸時代に馴れ寿司の代用品として江戸で生まれました」
「そうですよね」
「ですが大阪の前には瀬戸内海があり」
 畑中さんは今度はこの海を話に出した。
「酢もお米もいいのです」
「だからですか」
「お寿司も関西です」
 こちらの方が美味しいというのだ。
「私はそう思います」
「畑中さんとしてはですか」
「関東、特に東京は合いません」
「ではもんじゃ焼きは」
「一度だけ食べましたが」
 しかしだった、その口調は明らかにそうしたものだった。
「しかし」
「お口にはですね」
「お好み焼きは大好きです」
「大阪の、ですね」
「広島の方のものも嫌いではありません」
 けれどもんじゃは、というのだ。
「生まれてから出張や旅行以外で関西から離れたことはないですが」
「ううん、本当に関東が合わないのですね」
「私は」
 僕にも答えてくれた。
「やはり関西です」
「そうなのですね」
「私は」
 こう僕達にお話してくれながらだった、畑中さんも朝御飯を食べた。そのうえで僕達はこうしたことも話してだった。
 それからだ、僕達はそれぞれのこの日の予定に入った、僕は部活に行ったけれど夏休みの時の学校は普段と違う。
 生徒がいても授業は行われていない、それでだ。 
 外でランニングをしてもだ、雰囲気が違っていてだ。ランニングの後の整理体操の時に二年の部活仲間達に言った。
「生徒は多いのに静かだよね」
「学園自体がな」
「校舎には誰もいないからな」
「そっちには人がいなくてな」
「その分静かだよな」 
 皆もこう僕に答えた。
「体育館や外にはいても」
「校舎に人がいないとな」
「やっぱり校舎に人がいると違うよな」
「放課後でもな」
「その分賑やかだな」
「休みの時になると実感するな」
 皆しみじみとして言う、そして。
 僕は部の皆も見回してだ、こうも言った。
「部員の数も少ないね」
「ああ、寮の奴は実家に帰ってる奴も多いしな」
「外国から来てる奴もな」
「その分だけ部員減ってるな」
「そのせいでな」
「そうだね、そういえば寮は」
 僕はここで寮のことも話した。 
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