八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第四十話 緊張の続く試合その十一
「実際に」
「池田さんもそんな男嫌いだよね」
「大嫌いよ」
一言でだ、池田さんは僕に答えた。
「当たり前じゃない」
「やっぱりそうだよね」
「そういう男を人間の屑っていうのね」
まさに正真正銘の、というのだ。
「性根叩きなおすどころじゃなくてね」
「やっつけないと、っていうのね」
「駄目でしょ、そんな奴」
「殴り倒すんだ」
「そうしないと気が済まないな」
具体的には、というのだ。
「もうね」
「成程ね」
「空手の技は何の為にあるのか」
「自分を鍛えて守る為だよね」
「あと自分の心を鍛える駄目だけれど」
「そうした奴もなんだ」
「懲らしめる力だといいわ」
こう言うのだった。
「活人拳だけれどね」
「悪い奴を成敗する」
「本当はあってはならないものよ」
池田さんは自分の空手のあり方も僕に話した。
「他の人を殴ったりすることは」
「空手の技をそうしたことに使うことは」
「そう、駄目なのよ」
「それでもなんだね」
「そうした奴は許したら駄目だと思うのよ」
奥さんや子供に暴力を振るう奴、所謂DV男はというのだ。
「これ女の人でも同じだから」
「いるね、子供虐待する母親」
「そんなことするのなら最初から産むな」
「そう思うんだね」
「大家君のお父さんはちゃんと大家君育ててたのよね」
「今も仕送りしてくれてるよ」
もうアパートの管理人をしていて収入がある、それも高校生とは思えない位に。だがそれでも親父は送ってくれるのだ。
「大学卒業して就職するまではって言ってね」
「いいお父さんね」
「まあね、収入はあるしね」
「凄腕の外科医さんだから」
「報酬は凄い貰ってるんだ」
それこそ本当にブラックジャックの様にだ。
「だから遊んで。けれど最初にね」
「大家君に仕送りしてくれるのね」
「そのお金は最初に送ってくれるよ」
「そうしたお父さんなのね」
「料理も作ってくれてたしね、お袋が出て行ってから」
その破天荒な女遊びに愛想を尽かしてだ、正直このことは親父が悪い。親父もそのことは認めている。とはいっても女遊びは止めていない。
「和食とかイタリア料理とか」
「イタリア料理多そうね」
「うん、多いよ実際に」
「そうなのね」
「しかも上手で。食器洗いとかお掃除は僕がしてたけれど」
元々そうしたことは嫌いじゃない、だからしていた。
「料理はいつも作っていてくれたね」
「じゃあやっぱりいいお父さんよ」
「そうだね、最近よく言われるし」
親父がいなくなって八条荘の管理人になってからだ。
「思う様になってきてるよ」
「いいお父さんだって」
「うん、そうした風にね」
「そうなのね」
「世の中酷い父親一杯いるから」
そうしたDV男なりだ、他には色々な屑人間がいる。思うことすら嫌なレベルでの人間すらその中には多いのも世の中だ。
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