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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第四十話 緊張の続く試合その十

「そうした人もね」
「いや、僕は観るのなら」
「しっかりとなのね」
「中途半端はするなってね」 
 ここで僕が言うことはというと。
「親父に言われたんだ」
「ああ、あのお父さんね」
「そう、徹底的に遊んで徹底的に飲めってね」
「女の人とお酒ね」
「それでこそ本当の遊び方だって言ってね」
「無頼ね」
「無頼っていうかね」
 むしろとだ、僕は言った。
「もう破天荒な親父だから」
「破天荒だからこそなの」
「中途半端はしないんだ」
「もう遊ぶこともお酒を飲むことも」
「毎日徹底的にやってるから」
 それこそ仕事が終わったらだ、夜勤の後は後で普通に朝から飲んで女遊びを楽しむ様な親父だ。本当に無頼だと思う。
「休むなら休めって言われたよ」
「中途半端にやるよりも」
「しないなら一切しない」
 僕はこうも言った。
「そうあれってね」
「だから観るってなったらなのね」
「うん、最後までしっかりとね
「観るのね」
「そうしているんだ」
 こう僕は話した。
「今もね」
「そうなのね、ただ」
「今度は何かな」
「いや、大家君って何だかんだでお父さんが言ったこと守ってるわね」
「そうかな」
「こうしたことだってそうじゃない」
 試合を観ることもというのだ。
「しっかりしてるでしょ」
「それもそうかな」
「結構お父さんのことお話に出すし」
「記憶に残ってるから」
 例え今は別々に暮らしていてもだ、あの親父のことはどうしても頭から離れない。あれだけ強烈な親父だと。
「昔の映画俳優さんみたいな生き方だったから」
「勝新さんみたいな?」
「飲んで遊んでだからね、むしろね」
「勝新さん以上?」
「遥かに凄いね」
 あの人どころじゃない、実際にそう思う。
「そちらの方は」
「だから記憶に残るのね」
「父親だから余計にね」
「それでそのお父さんの言ったことも覚えていて」
「守ってるのかな、けれどこのこともよく言うけれど」 
 僕は池田さんにもこのことを話した。
「親父のことは嫌いじゃないよ」
「物凄い遊び人でも」
「うん、女の人は泣かさないし」 
 貢がせたりとかもだ、三角関係や刃傷沙汰はあっても。
「暴力も振るわないしね、借金もないし」
「破天荒だけれど屑じゃないのね」
「そうした人じゃないよ」
 人間の屑かというとそうじゃない、僕はこのことは確かに言った。
「親父はね」
「そうなのね」
「うん、そうなんだ」
「だから嫌いじゃないのね」
「まあ嫌いかって言われたらね」
 それはだった。
「そうでもないよ」
「そうなのね」
「暴力振るわない、借金ないってそれだけでね」
「かなりプラスよね」
 逆に言えば人はこの二つだけで大きくマイナスになるだろうか、正直奥さんや子供に暴力を振るう男は最低と言ってもまだ足りないと思う。 
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