八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十九話 空手の型その十三
「それでバランス崩した瞬間にね」
「攻撃を浴びて」
「終わったの」
その苦々しい顔での言葉だ。
「しくじったわ」
「残念だったね」
「残念だったわ、お陰で三位にもなれなかったから」
「ううん、それじゃあ」
「先輩に言われた」
「日菜子さんに?」
「次の試合で活かせってね」
そう言われたというのだ、日菜子さんに。
「今日負けた悔しさをね」
「次の試合で」
「言われたわ、実はまだ大会あるしね」
「ああ、空手の大会って一つじゃないんだ」
「そうなの、今回は八条グループが主催する大会で」
その他にもというのだ。
「大会あるのよ」
「そうなんだね」
「そう、それにね」
その他にというのだ。
「まだあるから。その大会ではね」
「勝つんだね」
「優勝するわ、負けていられないわよ」
「頑張ってね、ただ日菜子さんは」
「先輩ね、先輩ならね」
「優勝出来るかな」
「ええ、出来ると思うけれど」
それでもとだ、池田さんは僕に答えてくれた。
「その鹿児島の三人の人儀武先輩と体格違うから」
「体重別なんだ」
「その人達三人共先輩より体格いいから」
「そんなにいいんだ」
「大将の人一七五だったわよ」
「女の人で一七五なんだ」
正直そう聞いてだ、僕も驚いた。
「それは凄いね」
「それですらっとしててね」
「空手やる人の体格だったんだ」
「動きも速くて。この人が一番強かったの」
その高校の中でもというのだ。
「けれどその人も他の二人の人もね」
「日菜子さんとは体格が違うから」
「個人戦ではあたらないわ」
「それは何よりだね」
「ええ、儀武先輩結構小柄だけれど」
池田さんは日菜子さんの体格のことも話した、実際日菜子さんはわりかし小柄だ。決して背の高い人じゃない。
「強いから」
「その人達が相手じゃないと」
「勝てるから」
「優勝もだね」
「ええ、いけるから」
こう僕に笑顔で話してくれた。
「期待出来るわ」
「じゃあ期待してるね」
「アパートの管理人さんとして」
「うん、そうだよ」
僕は池田さんの問いに素直に笑って答えた。
「それがどうかしたのかな」
「いや、試合観て欲しいっていうから」
日菜子さんがというのだ。
「それで来たけれど」
「あっ、直々のお誘いね」
「日菜子さんからの?」
「大家君も隅に置けないわね」
「最近結構言われてるけれど」
「それはそうね」
「言われて当然かな」
僕は首を傾げさせつつ応えた。
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