八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十九話 空手の型その十一
「普通に生きることにします」
「それが一番だろうね、僕もね」
「先輩もですか」
「親父とは違うから」
だからだとだ、真板君に言った。
「普通に生きていきたいね」
「何かもう普通じゃない様な」
「十七でアパートの管理人だからかな」
「それだけで相当ですよね」
「それはそうだけれどね」
そう言われると僕も苦笑いになるしかなかった、そうした話をしてだった。僕達は部活の休憩時間を過ごして。
休憩時間の後はまた練習をして午前中で終わった、そしてだった。
僕はシャワーを浴びて服を着替えてだった。お昼のお弁当を食べて。
大学の総合体育館に向かった、その体育館の入口にだった。
ジューンさんがいた、ジューンさんはラフな格好で僕に右手を振って来て言って来た。
「義和さン、こっちヨ」
「あれっ、ジューンさん」
「私もいるあるよ」
ジューンさんと同じくラフな格好の水蓮さんも出て来た、二人共下はジーンズとシューズで上はタンクトップだ。見れば二人共結構な胸の大きさだ。
「観戦に来たある」
「それでここにいるノ」
「そうなんだ」
「ただネ」
「観ているだけあるヨ、私達は」
僕に笑顔でこうも言った。
「私達は今度ネ」
「今度何かお願いするあるよ」
「二人共何処か行きたいんだ」
「そウ、この辺りでも関西でモ」
「見つけたあるから」
二人は僕ににこりと笑って答えてきた。
「その時にネ、また」
「声をかけさせてもらうある」
「それじゃあね」
僕は二人に頷いてだった、そうして。
日菜子さんのところに向かうことにした、二人は僕と別れて総合体育館の観客席に向かった。僕は選手の控え室に行こうと思ったが。
日菜子さんは女の人だ、だからだった。
行ってはいけない、そう思ってだ。
思いなおして観客席に向かってそこで応援しようとした、けれど。
ここでだ、観客席に向かおうとした僕の背中にだった。
「何処に行くの?」
「その声は」
振り向くとだ、そこにだった。
空手着の日菜子さんがいた、帯は黒帯だ。その日菜子さんが僕に声をかけてきたのだ。
「試合なら試合場の傍で観ていいわよ」
「いいんですか?」
「私が顧問の先生に言って許してもらったから」
「だからですか」
「そう、いいのよ」
こう笑顔でだ、僕に言って来た。
「安心してね」
「それじゃあ」
「団体戦はもう終わったら」
「試合はですか」
「残念だけれどうちは四位だったわ」
「ああ、準決勝で負けて」
「それでね」
「準決勝の相手にもですか」
「負けてね」
それでというのだ。
「四位だったの」
「そうですか」
「やっぱり優勝したかったわ」
苦い顔でだ、日菜子さんは僕に言った。
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