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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三十九話 空手の型その九

「それは当然ですね」
「そうした感じかな、あとオペラのドン=ジョヴァンニ」
「ドン?」
「ああ、そうしたキャラクターがいるんだ」
 僕は真板君がドン=ジョヴァンニのことを知らないことを見てこう説明した。
「凄い色事師なんだ」
「その人が先輩のお父さんとですか」
「似てるかな、あそこまで破天荒じゃないけれど」
 破天荒は破天荒でも手を出さない相手は弁えていて殺人とかもしない。親父は犯罪は絶対にしない主義だ。
「それでもね」
「そのキャラクターと似てるんですね」
「タイプ的にはね」
 そうだとだ、僕は話した。
「そうなるかな」
「そうなんですね」
「うん、けれど親父みたいに生きようと思ったら」
 実の息子としてだ、僕は真板君にさらに話した。
「疲れるよ、かえって」
「女の人と同時に何人とも遊んだり」
「修羅場しょっちゅうだよ、それにいつも飲んで遊んであから」
「身体の方も」
「結構大変だよ、親父あれでも健康にも気を使ってるし」
「完全な無頼派じゃないんですね」
「どんなに遊んでいても毎日ちゃんと寝てるし」
 親父曰く一睡もしないこと程身体に悪いことはない。
「健康バランス考えた食事でスポーツもしてね」
「意外とヘルシーなんですね」
「健康じゃないと遊べないとも言ってるよ」
「ううん、そこまでして遊んでおられるんですね」
「そういうのだからね」
「ああした風に生きようとすれば大変ですね」
「うん、そうだよ」
 こう僕は話した、真板君に。
「何かとね」
「そうしたものなんですね」
「だからね、親父みたいになろうというのは」
「止めた方がいいですか」
「憧れることはいいよ」 
 流石にそこまでは止められない、その人が思うことまでは。
「けれどああした生き方はね」
「難しいんですね」
「そうしたものだよ、現実は」
「そうなんですね、実際は」
 真板君もここで納得してくれた、僕にはそう見えた。
「破天荒に生きることも」
「何かと難しいよ」
「無頼に生きようと思っていても、ですか」
「実際お酒と女の人ばかりだと」
 そんな生活を続けているとだ。
「健全さもないと死ぬよ」
「死にますか」
「すぐに身体壊してね」 
 こうなることは目に見えている、それこそ。
「酒と女はどうとかっていうじゃない」
「仇なりとか」
「その二つにばかりのめり込んでいたらね」
「あっという間に、ですか」
「身体壊して死ぬよ」
 近くにそうした話は僕は聞いていない、けれど親父は多分そうした話はいつも聞いていたし見ていたと思う。
「肝臓なり何なり壊して」
「お酒で肝臓ですか」
「遊び過ぎで身体衰弱させて」
「どっちにしても」
「うん、死ぬよ」
 こう話した、真板君に。
「やっぱり節制もしないと」
「健康も大事ってことですか」
「そこまで気を配らないと」
「遊び続けられないってことですね、わかりました」
 真板君はここまで話してかなり深刻な顔になっていた、その顔での返事だった。 
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