八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十九話 空手の型その二
「夜の稽古は程々で止めておくわ」
「じゃあ後はお風呂に入っテ」
「ゆっくり休むあるな」
「たっぷりと寝て」
「そうするわ。よく稽古をしてよく寝る」
日菜子さんは身体全体を使ってだ、今度は相手がいると仮定したうえでのシャドーファイトを行いつつ述べた。
「そうしてるわ」
「あっ、よく寝ないと」
僕もこのことは自分でもそうしているので述べた。
「本当に動けないですから」
「そう、それでね」
「ゆっくりと休んで」
「そうしてね」
「試合に挑まれるんですね」
「そうするわ、休むことにも励むわ」
こう僕にも話してくれた。
「気合を入れてね」
「休むのに気合?それはまタ」
「必死あるな」
「休むことにも気合が必要なの」
「よくベッドに入っても寝付けないことがあるじゃない」
日菜子さんはいぶかしむ三人にこう話した。
「中々ね、だからそういう時はね」
「飲ム」
「そうするあるな」
「お酒をね」
「お酒の場合もあるし牛乳の場合もあるわ」
こちらもとだ、マルヤムさんは微笑んでまた三人にお話した。
「それもホットミルクをね」
「ああ、あれを飲むとネ」
「確かによく寝られるあるな」
「健康的だしいいよね」
「そうしたのを飲んで寝ているの」
これが日菜子さんの安眠の秘訣だった。
「じっくりと寝てるわ、私寝付けないこと結構あるから」
「だから気合入れて寝るノ」
「そうしたものを飲んでからあるか」
「そうした意味で気合を、っていうのね」
「そうなの、今日もね」
そうするとだ、日菜子さんは稽古を続けながら三人に言った、僕から見ればその動きは素晴らしいままだったけれど。
日菜子さんは身体を動かしつつだ、難しい顔になって言った。
「ゆっくり休むわ」
「じゃあ今日は軽くですか」
「私としてはね」
日菜子さんから見て、というのだ。
「汗を流してからね」
「お風呂に入って」
「寝るから」
「わかりました、じゃあ戸締りですけれど」
僕はアパートのそれの話もした。
「畑中さんがしてくれますのね」
「そうなのね、じゃあ」
「お気になされずに」
「わかったわ」
「最近空き巣の話もありますし」
近所にだ、それでなのだ。
「戸締りには気をつけていますので」
「戸締りもなのね」
「アパートにまで入って来たらあれですから」
「門と壁を越えてなの」
「うちのアパート壁は高いですけれど」
八条荘の敷地は広いけれど壁はかなり高い、三メートルは優にある。そして門も閉じられる様にしている。
けれどだ、それでもなのだ。
「用心はしていますので」
「だからアパートの扉もなのね」
「閉めます、十二時になれば」
「そうするのね」
「あと皆さんのお部屋それぞれにです」
「鍵あるわね」
「寝られる時は忘れないで下さい」
最後のこのガードをとだ、僕は日菜子さんに話した。
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