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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三十九話 空手の型その一

                       第三十九話  空手の型
 日菜子さんは稽古前にだ、しっかりとだった。
 膝までの黒いジャージのズボンとグレーのシャツの姿になっていた。その格好になって髪の毛も束ねてだった。
 動きやすいスタイルになっていた、靴はシューズだ。
「じゃあはじめるわよ」
「もう着替えられたんですね」
「私着替えるの早いの」
 にこりと笑ってだ、僕に答えてくれた。
「だからね」
「すぐに着替えられて」
「じゃあはじまるわよ」
「はい、その前にですよね」
「ええ、軽い稽古でもね」 
 日菜子さんは早速だった、アパートの玄関から出たすぐその場で。
 アキレス腱を伸ばした、そうして僕に言って来た。
「準備体操はしないと」
「身体をほぐして温めてからですね」
「はじめないとね」
「怪我をしますからね」
「怪我したらアウトだから」
「もうそれだけで」
「武道、スポーツをするのならね」 
 それこそとだ、日菜子さんはアキレス腱伸ばしから屈伸をしつつ述べた。
「まずは準備体操をしっかりとして」
「はじめるべきですね」
「そう言われたの、道場の先生に」
「まずは怪我をしない為にですね」
「準備体操をしてね」 
 そうして身体をほぐして温めてからすべきだとだ、日菜子さんは足も手もじっくりと準備体操をした。それからだった。
 それが一部始終整ってからだ、型をはじめた。素早い動きで型をとんどんとしていく。それをしつつだった。
 僕にだ、こう問うた。
「どうかしら」
「ううん、空手は知らないですけれど」
「それでもよね」
「はい、いい感じだと思います」
 僕は思ったことをそのまま述べた。
「動きもキレがあって的確で」
「柔らかいですか」
「そう思います」
 充分にとだ、僕は答えた。
「僕は」
「ならいいけれどね」
「ううン、ちょっとネ」
「万全の調子ではないあるヨ」
「私もそう思うわ」
 ここで三人の人の声がした、その声の方に顔を向けると。
 ジューンさんに水蓮さん、そしてラブポーンさんがいた。三人だった。
 その三人の人達がだ、日菜子さんの動きを見て言った。
「いつもの九割位かネ」
「そんなところあるな」
「食べたばかりで動きが鈍ってない?」
「そう思う?貴女達は」
「食べたすぐ後はどうしてもネ」
「動きが鈍いある」
「本調子はまだ先?」
 三人はまた日菜子さんに話した。
「まあ試合当日にベストならいいけれどネ」
「その時に万全にするよろし」
「今のうちに調子を上げて」
「そうするわね、やっぱり稽古をしないと」
 日菜子さんは実際に型を続けつつ三人にこたえた。
「調子が落ちるからね」
「そういうことよネ、けれどあまり汗をかいてもネ」
「本番に力が残っていないある」
「そこは気をつけてね」
「わかってるわ、お昼もたっぷり汗をかいてるし」
 稽古に励んでいた、それでというのだ。 
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