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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三十七話 大阪に行ってその十二

「八階建てだったんだ、大阪城は」
「そしてその最上階がでござるな」
「うん、大阪を見渡す場所なんだ」
「そこから大阪の街を見渡せるでござるか」
 マルヤムさんはそのことを思ってだ、目をきらきらとさせて言った。
「楽しみでござる」
「いい光景だよ」
 僕はその最上階への階段を見つつマルヤムさんに話した。
「本当に必見だから」
「見て損はないでござるな」
「ないよ」
 これが僕の返答だった。
「だから行こう」
「では、でござる」
 マルヤムさんは自分からその上り階段に向かった、そして。 
 二人で最上階、展望台であるそこに出た。そこから見える大阪の街を見回してだ。マルヤムさんは感嘆して言った。
「義和殿の言った通りでござる」
「いいよね」
「最高でござる」
 こうまで言ってくれた。
「来てよかったでござる」
「そうだよね、僕も久し振りに来たけれど」
「いいでござるな」
「何度見てもね」
 それこそだった。
「飽きないしね」
「そうでござるな、絶景でござるよ」
「この光景をね」 
「太閤さんもでござるな」
「天守閣の場所は違うけれど」
 それでもだとだ、僕は話した。
「観ていたんだ」
「そうだったでござるな」
「そうだったんだよ」
「大坂の陣の時は秀頼殿が」
「観ていたと思うよ」
 その天守閣からだ。
「戦をね」
「そうしていたでござるな」
「まあ秀頼公もね」
 この人もだ、あの戦の時に。
「死んだって言われてるしね」
「亡骸は見付かっていないでござるな」
「何か頭が三十五年位前に見付かったみたいだけれど」
 頭蓋骨がだ、大阪城の土から。
「それが秀頼公だとも言われてるけれどね」
「実際はわからないでござるか」
「そうなんだ、この人も生きてたって説があるのは話したけれど」
「鹿児島に逃れたでござるな」
「幸村さんと一緒にね」 
 実際にそうした言い伝えがある、この人にも。
「幸村さんが護って逃げたって言われてるんだ」
「そうでござるか」
「そこに十勇士の人達も」
「落ち延びられたでござるか」
「物語によっては何人死んだ風にもなってるよ」
 この辺りは本当に作品による、十勇士程それぞれの経歴や結末が作品によって違う人達も珍しいと思う。
「大坂の陣でね」
「死んだござるか、幾人の方は」
「そうした風にね、ただね」
 僕はマルヤムさんにこのことも話した。
「全員落ち延びた作品もあるんだ」
「その鹿児島に、でござるな」
「うん、幸村さんと一緒にね」
「では拙者は全員と思うでござる」 
 幸村さんも十勇士も全員というのだ。
「生き延びられたでござるよ」
「秀頼公を護って」
「それで鹿児島で天寿を全うされたでござるよ」
「僕もそう思いたいね」
 微笑んでマルヤムさんに答えた。
「実際に」
「そうでござるな」
「丁渡あの辺りがね」
 大阪城の南の辺りを指差しつつマルヤムさんに話した。
「真田丸でね」
「あの辺りがでござるか」
「幸村さんが奮戦したんだ、そしてね」
 今度は天王寺の方を指差して話した。 
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