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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三十七話 大阪に行ってその五

「そうなれるよ」
「十勇士の方々の様にでござるな」
「そして剣道も」
 そちらのこともだ、僕は話した。
「修行をしていけばね」
「幸村殿の域になれるでござるな」
「そうなるよ、努力していけばね」
「努力、修行してこそでござるな」
「うん、うちの親父は全然努力しないというかね」
 僕はここでも親父のことを思い出した、どうも毎日一回は絶対に思い出してしまう。
「実戦で鍛えてきたタイプだけれど」
「実戦で、でござるか」
「何でもね」
 遊びも医師としての腕もだ。
「実戦からね」
「普段はござるか」
「そうなんだ、努力ということは」
「しない方でござるか」
「何でも学業もそうだったらしいんだ」
「学生時代も」
「うん、勉強はね」
 成績優秀だったらしい、しかし。
「予習復習はしないで」
「どうしていたでござるか」
「授業と塾のその二つの場でね」
「真剣にやって、でござるか」
「そこを実践にしてね」
「身に着けておられたのでござるか」
「それで大学に入ってね」
 医学部にもだ、親父はそこでもだったのだ。
「そこでもずっと真剣の場でね」
「身に着けておられたでござるか」
「そうだったんだ」
「本当に真剣勝負一筋でござるか」
「親父はね、手術の腕も」
「手術自体で、でござるか」
「腕を磨いていって。遊びもね」
 僕は親父とは切っても切れないこのことについても話した。
「その中で磨いていったんだ」
「その他ならぬ遊びの中で」
「そうだったんだ」
「ううむ、まさに勝負師でごわすな」
「お料理もね」
「実際に作られてでござるか」
「最初につくるメニューはその場でレシピを読んで作るんだ」
 その料理を僕にもよく出して来た、特にオリーブオイルとガーリックを使った料理であることが多かった。
「本当に予習復習はしないんだ」
「武士でござるな」
「武士なのかな」
「剣豪の様でござる」
「ああ、常に真剣勝負だから」
「そうでござる」
 まさにそれ故にというのだ。
「拙者はそう思ったでござる」
「成程ね、言われてみればね」
「義和殿のお父上は剣豪でござる」
「そうした生き方なんだね」
「剣豪はその場で勝負になったこともあるでござるな」
「前以て調べる時もあったけれどね」 
 果し合いのその相手をだ、敵を知り己を知ればというがそのことを忠実に守ってだからそれは正しい。
 けれど急の勝負でそれが出来ない、だからというのだ。マルヤムさんは。
「確かに急な時でもね」
「勝たねばならないでござるな」
「剣豪はね」
「さもないと」
「うん、生きるか死ぬかだから」
 剣豪はそうしたものだ、僕が聞く限りは。
 だからだ、こうマルヤムさんにも言ったのだ。
「幾ら急でもね」
「勝たないとでござるな」
「駄目なんだよね」
「だからでござる」
「常に真剣勝負の中で勝っている」
「お父上は剣豪でござる」
 そうなるというのだ。 
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