八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十七話 大阪に行ってその四
「水遁の術は使っていたでござるな」
「刀の鞘とかをシュノーケルに使った」
「あれは実際にやっていたでござるな」
「うん、あの術は使っていたよ」
そうしてお水の中に隠れていたのだ。
「隠れ方にコツがあったけれどね」
「お水の中でそのまま入っていても透けるでござる」
「だから水草とかに隠れたりしないとね」
「水遁をしても見付かるでござるな」
「そうなんだ、マルヤムさんは水遁の術は」
「得意でござる」
強い声でだ、マルヤムさんは僕に答えてくれた。その間もお堀を見ている。そしてその向こうの石垣と上にある本丸のところも。
「五遁の術はどれもでござる」
「全部なんだ」
「忍者は忍ぶものでござる」
戦うよりもというのだ。
「それで祖国にいた時から励んでいるでござる」
「だから得意なんだね」
「手裏剣と五遁、それに跳躍はでござる」
その三つはというのだ。
「自信があるでござる」
「どれも忍者の術でもとりわけ重要だね」
「その次に駆け足と水泳でござる」
その二つが来るというのだ。
「いつもしているからでござる。ただ」
「ただ?」
「忍者の剣術は不得意でござる」
マルヤムさんはこちらについては残念そうに答えた。
「剣道はしているでござるが」
「忍者の剣術はまた違うんだ」
「剣道とはまた別でござる」
マルヤムさんは僕に強く話した。
「あれは中々難しいでござる」
「剣道は出来ていても」
「剣道は武士のもので一番重要なので親しんでいるでござる」
実際にマルヤムさんは毎日剣道の素振りをしている、それで剣道も得意だというのだ。けれど忍者の剣術は。
「忍者は戦わないものでござる」
「隠れて逃げるのが忍者だからね」
「そうでござる」
僕達は橋、土のそれのところに来た。渡しではなく。その大阪城の正門に至る橋の前に来てそこからお城の中に入った。
その中に入りながらだ、マルヤムさんは話してくれた。
「剣術はあまり修行しないでござる」
「修行しないからなんだ」
「得意でないでござる」
そして自信もないというのだ。
「拙者は」
「そうなんだね」
「これでは十勇士の方々には及ばないでござる」
マルヤムさんは僕と一緒に橋を進みつつ俯いていた。
「到底」
「まあ十勇士の人達はね」
僕は落ち込んだマルヤムさんを励ます為に話した。
「忍者の中でも別格だから」
「強いでござるな」
「うん、選りすぐりの精鋭だから」
天下に名立たる猛者達となっている、どの作品でも。
「別格だよ」
「拙者なぞまだまだでござるな」
「正直今の段階だとね」
僕はここで本当にことだ、マルヤムさん自身に話した。
「マルヤムさんは十勇士の人達には遠く及ばないよ」
「その通りでござるな」
「特に剣術はね」
忍者のそれはというのだ。
「どうしてもね、けれどね」
「それでもでござるか」
「修行を続けていけばね」
それで、とだ。僕は話した。
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