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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三十七話 大阪に行ってその三

「美味しかったでござる」
「そうだよね」
「コーラかサイダーも欲しいでござるな」
「あっ、やっぱりね」
 僕は小夜子さんのその言葉に笑顔になって応えた。
「そう言うと思ったよ」
「読んでいたでござるか」
「たこ焼き、お好み焼きといえばね」
 こうした粉ものを食べるとだ。
「炭酸飲料が欲しくなるんだよね」
「コーラやサイダーをでござるか」
「うん、だからね」
 僕も同じだ、だからこそ余計にわかった。
「それじゃあね」
「これからでござるな」
「それも買おうか」
「ではサイダーを」
 マルヤムさんが欲しいのはこちらだった。
「お願いするでござる」
「じゃあ僕もね」
「義和殿もでござるか」
「サイダーにするよ」
「それも飲んで、それから」
「大阪城に行こう」
「天守閣の中にでござるな」
「そうだよ」
 こうマルヤムさんに答えてだった。
「入ろうね」
「楽しみでござる」
 マルヤムさんの言葉はうきうきとしていた、それが僕にもわかった。
「大阪城に入るでござるな」
「それじゃあね、それとね」
「それと、でござるか」
「お城は天守閣だけじゃないからね」
「お堀や石垣もでござるか」
「大阪城は確かに小さくなったよ」
 太閤さんの時代と比べるとだ、あの船場辺りまであったとてつもなく大きなお城ではない。あの頃の大阪城じゃない。
 けれどそれでもだ、僕はマルヤムさんに話した。
「本丸が残っててね」
「その本丸にでござるか」
「今から入るからね」
「そこでお堀を見てでござるな」
「石垣も見てね」 
「それから天守閣でござるな」
「うん、そうしよう」 
 お城に入る順番を守ろうと話してだ、そしてだった。
 僕はマルヤムさんを大阪城本丸の方に案内した。木が並んでいてだった。その木の向こう側にそのお堀があった。
 水を湛えたそのお堀を見てだ、マルヤムさんは目を瞠って言った。
「凄いでござるな」
「広いお堀だよね」
「あのお堀で敵を防いでいたでござるか」
「そうだったんだ」
「確かに広いでござる」
 マルヤムさんはそのお堀を観つつ僕に言った。
「水蜘蛛で渡ろうにもでござる」
「あの忍者の道具だね」
「渡る前にお城の方から鉄砲や矢を撃たれてしまうでござるな」
「そうなるね。あとね」
「水蜘蛛でござるな」
「あの水蜘蛛は実際にはね」
 昔の忍者漫画によく出て来た足に履く木を丸くつなげたものだ、それを履いてアメンボの様に水の上を歩くのだ。
 その水蜘蛛についてだ、僕はマルヤムさんに話した。
「使わなかったんだ」
「あれに乗って水の上に乗ってもでござるな」
「浮かないから」
「そうでござるな」
「そう、だからね」 
 それでとだ。マルヤムさんに話した。
「実際は泳いで川とかお堀を渡っていたんだ」
「そうでござるな、ただ」
 ここでこう言ったマルヤムさんだった。 
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