八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十七話 大阪に行ってその二
「この辺りもお城の中でね」
「天守閣はまだ遠いでござるが」
「それでもね」
「この辺りもでござったか」
「お城の中だったんだ」
「本当に相当に凄いお城だったのでござるな」
マルヤムさんは本で読んだことを思い出してから、感銘を受けている感じだった。そのうえでまた出店を見て言った。
「しかもでござる」
「あっ、出店だね」
「お好み焼きにたこ焼きでござるか」
「何か食べる?」
「そうでござるな、日本のお好み焼きを食べたでござるが」
日本に来てからというのだ。
「あれもいいでござるな」
「気に入ってくれたんだね」
「たこ焼きもいいでござる」
実際にマルヤムさんはたこ焼きの屋台も見ていた。
「あちらも」
「じゃあ両方食べる?」
「そうしていいでござるか」
「お金はあるしね」
僕が持っている、僕のお給料からのお金があるからだ。
「心配しなくていいよ」
「では、でござる」
「まずはどっちを食べるのかな」
「たこ焼きでござるな」
マルヤムさんが最初に選んだのはこちらだった。
「あれを軽く食べてからでござる」
「次にお好み焼きだね」
「そうしたいでござる、あと」
「あとって?」
「お好み焼きは大阪のと広島のものがあるでござるな」
「ああ、そのことだね」
お好み焼きの話を受けてだ、そしてだった。
僕はマルヤムさんにだ、お好み焼きに関する僕の考えを話した。
「大阪には大阪のお好み焼きがあるんだ」
「大阪の、でござるか」
「そうなんだ、それでね」
「広島には広島でござるか」
「こっちでは広島のは広島焼きっていうんだ」
「お好み焼きではないでござるな」
「違うんだ」
この辺り関西人、特に大阪の人は譲らない。お好み焼きといえば「大阪のものしか有り得ないというのだ。
「だからここで売っているのはね」
「大阪のお好み焼きでござるな」
「そうだよ」
まさにそれだとだ、マルヤムさんに話した。
「それになっているよ」
「そういえばお店にあるのも」
マルヤムさんはお店もじっと見て答えた。
「全部同じものでござるが」
「あれがね」
「大阪のお好み焼きでござるか」
「そうなんだ」
「あれはキャベツや中のものを混ぜているでござるな」
「それで焼くんだ」
それが大阪のお好み焼きだとだ、僕も話した。
「大阪のはね」
「広島はどうでござるか?」
「挟むんだ、キャベツとかをね」
「混ぜるのではなくでござるか」
「挟むんだ、生地と生地で」
「それが広島のお好み焼きでござるか」
「こっちじゃ広島焼きというね」
それだとだ、僕は話した。
「また違うんだ」
「同じお好み焼きもでござるな」
「お好み焼きと広島焼きはね」
これが広島出身の小夜子さんになると大阪焼きになるのが本当にややこしい。けれど小夜子さんのことは今は置いておいてだった。
僕はまずはたこ焼きを買ってだ、それをマルヤムさんと一緒に食べて。
それからお好み焼きも食べた、その二つを食べてだった。
マルヤムさんはしみじみとしてだ、こう言ったのだった。
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