八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十六話 終業式その十四
「天守閣だけ無傷だったから」
「そうだったでござるか」
「それが今の天守閣なんだ」
「生き残ったでござるか」
「今もね」
「わかったでござる、アッラーのご加護でござるな」
マルヤムさんは腕を組んで言った、僕の天守閣の話をここまで聞いたうえで。
「よく残ったでござる」
「本当にね」
「そう思うと凄いお城でござるな」
「そしてあそこでね」
「幸村殿がおられたでござるな」
「うん、あの中にね」
正確に言うとその時の大坂城の中にだ、豊臣時代の。
「いたんだ、あとね」
「あと?」
「茶臼山ってあるけれど」
大阪にだ。
「あそこに徳川家康が本陣を置いたんだ」
「憎き家康めが」
「そうだったんだ、大坂の陣の時はね」
「そうでござったか」
「それで大坂城の南に真田丸があったんだよ」
「真田丸でござるか」
「真田幸村が築いたんだ」
大坂城の唯一の弱点が南のそこにあると見てだ、真田幸村が築いてそこで東軍の大軍を迎え撃ったのだ。
「冬の陣の時はそこで戦ったんだ」
「では今も大阪に行けばでござるな」
「そうだよ、その戦場跡だから」
大阪自体がだ。
「真田丸跡もあるし茶臼山もね」
「あるでござるか」
「そうなんだ」
「行ってみたいでござる」
その目を輝かせてだ、マルヤムさんは僕に言って来た。
「大阪に」
「あっ、行きたいんだ」
「是非にでござる」
目を輝かせたままでの言葉だった。
「拙者、行きたいでござる」
「じゃあ大阪行くんだね」
「行って来るでござる。ただ」
「ただ?」
「大阪の場所は知っているでござる」
その街の場所はというのだ。
「それは」
「うん、神戸の隣って行ってもいいからね」
「電車で行けるでござるな」
「すぐにでもね」
「しかしでござる」
それでもとだ、マルヤムさんはここではその目を困らせて僕に話した。
「大阪のことは拙者はまだ」
「知らないんだ」
「具体的に何処に何があるのか」
「大阪城もだね」
「何処にあるでござるか?」
「それならね」
ここでだ、僕はマルヤムさんに提案した。
「一緒に行く?大阪に」
「義和殿が案内してくれるでござるか」
「マルヤムさんは大阪に行きたいんだよね」
「是非にでござる」
目を輝かせての返答だった。
「大阪に行って、でござる」
「大阪城に行ってだね」
「真田幸村殿にもお会いしたいでござる」
「まあ幸村さんはね」
この人はだ、既にだ。
「大坂の陣で討ち死にしているから」
「銅像にでござるよ」
「うん、そうだよね」
「とにかく幸村殿と十勇士の方々縁の地に行ってみたいでござる」
「じゃあ案内するよ」
僕はこうマルヤムさんに提案した。
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