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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三十六話 終業式その十三

「二十歳超えてる場合もあるね」
「まだ十代の少年忍者ではなく」
「そこは色々なんだ」
「では他の十勇士の方々も」
「うん、色々だよ」 
 他の九人も作品によってはだ。
「本当にね」
「小説や漫画、ゲームによってでござるな」
「敵でも味方でも凄く強いけれどね」
 このことは変わらない、どの作品で出て来ても。
「海賊やってたり武者修行してたり。本当に色々な経緯で出て来るしね」
「主は一人でござるな」
「それだけは決まってるね」
 というか変えようがなかった、何しろ『真田』十勇士だからだ。真田幸村に仕えずして真田にはならない。
「真田幸村さんだよ」
「拙者あの人を尊敬しているでござる」
「幸村さんを」
「日本人でそうでござる」
「そうなんだ」
「最高の武士でござる」
 マルヤムさんは真田幸村をこうまで評した、その目を輝かせて。
「文武両道だけではないでござるな」
「武勇があって頭が切れてね」
「家臣に優しく忠義と義侠に満ちているでござるな」
「最後は討ち死にするけれどね」 
 大坂夏の陣でだ、徳川家康をあと一歩まで追い詰めながらも。
「凄い人だよ」
「義に生き、義に死すでござるな」
「まさにそうした人だね」
「敗れはしても見事だったでござる」
「だからなんだ」
「拙者、尊敬しているでござる」
 真田幸村、この人をというのだ。
「ああなりたいでござる」
「そうなんだね」
「最高の人でござる」
「マレーシアの人から見ても素晴らしい人なんだね」
「日本人のあいだでも人気があるでござるな」
「うん、今もね」
 その通りだとだ、僕はマルヤムさんに答えた。
「だから十勇士もずっと出ているんだ」
「主君が素晴らしいからこそ」
「そうだよ、あの人が戦国の最後に出たんだ」
 細かく言えば安土桃山時代になって江戸時代になって。そして大坂の陣になったその時にだ。戦の場に出たのだ。
「それで大坂の陣で活躍したんだ」
「戦国の最後にでござるな」
「その時に大坂城も一旦焼けたよ」
 僕はマルヤムさんにこのことも話した。
「そこからまた築城したんだ」
「それが今の大阪城でござるか」
「うん、あと天守閣は三代目だよ」
「二代目ではないでござるか」
「最初のはその大坂の陣で焼けたんだ」
 絵にもなっている、あの黒くて五層七階の瓦が黄金に輝いている天守閣だ。あの絵は僕もよく覚えている。
「それで二代目は落雷で焼けて」
「今は三代目でござるか」
「昭和六年位に出来たものだよ」
 それがあの天守閣、三代目のそれなのだ。
「今もあるんだ」
「三代目でござるか」
「うん、もっとも今の天守閣も危なかったみたいだよ」
「焼け落ちた可能性があったでござるか」
「先の戦争の時にね」
 第二次世界大戦、この時にだ。
「空襲で焼けてね」
「そうであったでござるか」
「天守閣の周りが丁渡軍需工場で集中攻撃を受けたんだ」
 爆撃でだ、何でも二十年位前まで時々不発弾が見付かったらしい。
「それで天守閣だけが残ったんだ」
「天守閣だけが、でござるか」
「うん、あれだけね」
「よく残ったでござるな」
「奇跡だったと思うよ」
 僕はその空襲の後の写真を見て素直にそう思った、本当に天守閣だけが残骸の中に立っていた。物凄い写真だった。 
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