八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十六話 終業式その十二
「いいというか。喋り方なんてね」
「それはでござるか」
「個性があっていいと思うから」
だからだというのだ。
「別にね」
「いいでござるな」
「マルヤムさんの好きな様にすればいいと思うよ」
喋り方はだ、僕はこうマルヤムさんに答えた。
「ござる口調でも普通の喋り方でね」
「そうでござるか」
「うん、あとそのござる口調は」
「好きでござる」
マルヤムさんはにこりと笑ってだ、僕に答えた。
「時代劇の武士の喋り方を観て好きになったでござる」
「そうだったね」
「やっぱりでござる」
マルヤムさんはこうも言った。
「武士、忍者は最高でござる」
「忍者もござる口調だしね」
「そうでござるな」
「そうした忍者もいるよね」
時代劇にはだ、そして忍者漫画とかでもだ。
「それも観てなんだ」
「好きな忍者は猿飛佐助でござる」
「真田十勇士の」
「十勇士は大好きでござるが」
その中でも特にというのだ。
「佐助殿は最高でござる」
「格好いいのかな」
「格好よさよりも愛嬌でござるな」
それがあるからだというのだ。
「佐助殿は最高でござる」
「そんなに好きなんだね」
「そして主君の真田幸村殿も」
大坂の陣で獅子奮迅の働きをしたこの人もというのだ。
「大好きでござる」
「武士のその人も」
「尊敬しているでござる、そういえば」
マルヤムさんはここでこうも言った。
「十勇士の方は何人かは実在していないでござるな」
「あっ、それぞれモデルの人がいたよ」
「十人全員でござるか」
「うん、いないとされている人もね」
「では佐助殿も」
「そうした意味では実在していたみたいだよ」
「そうでござったか」
「だから生まれ故郷とされている愛媛にも」
僕は猿飛佐助のそのことも話した。
「銅像があるんだ」
「愛媛生まれでござったか」
「そう言われてるね」
「長野生まれと思っていたでござる」
「その辺りは色々なんだ」
諸説ある、もっと言えば物語によって違う。
「生まれた場所も使う術もね」
「術まで違うでござるか」
「外見も違ったりするよ」
「佐助殿といえばでござる」
マルヤムさんが言う猿飛佐助の外見はというと。
「小柄というイメージでござるが」
「そうした描写が多いよね」
「そうではないでござるか?」
「それですばしっこいんだよね」
十勇士の中でもとりわけだ。
「猿飛佐助は」
「それが違うでござるか」
「うん、確かに小柄であることが多いけれど」
物語の猿飛佐助はだ、モデルとなった人は実際どうだったか僕は知らないけれど。
「大柄に書かれてる場合もあるんだ」
「あの人が大柄でござるか」
「奥さんがいたりね」
「何と、所帯を持っているでござるか」
「そうした場合もあるよ」
この話を読んだ時は僕も驚いた、まさか猿飛佐助が結婚していて奥さんもいるとか想像もしなかったからだ。
「作品によってはね」
「そうでござるか、奥方がおられたり」
「するし。年齢もね」
これもだ、作品によっては。
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