八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十六話 終業式その十
「同じ都道府県でも移動に時間がかかるのは普通です」
「だから長崎県もですね」
「割り切っていきましょう」
「そういうものだとですね」
「はい、もっとも私も兵庫県にいてもです」
畑中さんは僕にこんなことも話してくれた。
「日本海側には行ったことはあまりありません」
「あちらにはですか」
「やはり兵庫県の中心は神戸市とその周辺です」
西宮市や宝塚市も入れてだ。
「そちらになります」
「やっぱりそうなりますね」
「はい、そうです」
中心はあくまでここだというのだ、所謂瀬戸内海側だ。
「どうしても」
「そうですよね」
「まあその話は置いておきまして」
「はい、旅行の時は畑中さんもですね」
「ご一緒させて頂きます、今から楽しみです」
実際にだ、畑中さんは結構嬉しい楽しみにしている感じだった。そのお顔はあくまで真面目なものだったけれど。
「私も」
「ですね、じゃあ」
「その時も宜しくお願いします」
「こちらこそ」
僕達はこうした話をした、そしてだった。
僕達はその話をしてから一旦別れた、けれど僕がお風呂に入っている時に畑中さんも入って来た。お年寄りだけれどしっかりとした体格だ。
その畑中さんが身体を洗っている僕の横の席に座って言って来た。
「どうも」
「ここでも一緒になりましたね」
「そうですね」
まずは他愛のないやり取りだった。
「畑中さんは今日は」
「今からお風呂です」
「そうですか」
「少し汗をかきましたので」
それで、というのだ。
「今日は今からお風呂とさせてもらいます」
「わかりました」
「お風呂は好きです」
実は畑中さんは毎日入っている、奇麗好きな畑中さんらしい。
「生き返ります」
「身体も奇麗になりますよね」
「そして湯舟にも入り」
「リラックスして」
「心がです」
生き返るというのだ。
「本当にいいものです」
「そういえば八条荘はお風呂いいですよね」
「はい、最初の所有者の方がお好きだったので」
「だからですか」
「サウナもあります」
そちらもというのだ。
「そうなっています」
「そうなんですね」
「私はサウナにも入ります」
そうした時もあるというのだ。
「汗をかきたい時は」
「いいですよね、サウナも」
「入られた後は水分補給を忘れないで下さい」
「はい、それは」
「さもないとです」
サウナは汗から身体の中の不純物を出して身体もかなり温めるので健康にもいい、けれど血糖値が上がるし水分が出るからだ。
「脱水症状等にもなりますので」
「注意が必要ですね」
「そこはご注意を」
「わかりました」
畑中さんのその言葉に頷いた、僕も脱水症状の怖さはわかっているつもりだ、部活でも先生にいつも言われている。
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