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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三十六話 終業式その九

「だから」
「はい、旅行中はです」
「旅行を楽しまれるんですね」
「ハウステンボスにも行きます」
「あっ、あそこにもですか」
「いいところです」
 畑中さんの言葉は微笑んでいた。
「楽しめます」
「畑中さんハウステンボスには」
「行ったことがあります」
 実際にというのだ。
「ですから知っています」
「そうなんですね」
「良い場所です、だからこそ立ち直れたのです」
「経営危機だったんですよね、あそこ」
 一時期はだ、僕も聞いていて心配だった。実は僕は子供の頃親父に連れて行ってもらっている。もっとも親父はあそこでもお酒に女の人だった。
「それが立ち直れたのは」
「元がよかったこともあります」
「経営努力と共に」
「そうでした」
「それで、ですか」
「今も多くの人を楽しませてくれています」
「そうなんですね」
 僕はその話を聞いてだ、自分でも笑顔になっていることがわかった。「
「それで長崎に行くのと一緒に」
「ハウステンボスにも行きますので」
「わかりました。ただ」
「はい、同じ長崎県ですが」
「長崎市とハウステンボスは離れていますね」
「ハウステンボスは佐世保市にあります」
 海軍の基地があった街で今は海上自衛隊の基地もある。アメリカ海軍の基地もあって水兵さん達も沢山いる。
「同じ長崎県でも離れています」
「電車でも結構かかりますね」
「はい、残念ですが」
「あれ不思議ですよね」
 僕は畑中さんにしみじみとした口調で言った。
「同じ長崎県なのに」
「ああして移動に時間がかかることが」
「同じ県なのにって思います」
「ですがそれを仰いますと」
 ここで畑中さんは同じ長崎県内なのにやけに移動に時間がかかる長崎市とハウステンボスについてこう話してくれた。
「この兵庫もです」
「あっ、この神戸と日本海側の行き来は」
「大変ですね」
「確かに」
 言われて気付いた、そのことに。
「同じ兵庫県ですが」
「本来は違う国でしたし」
「でしたね、維新までは」
 神戸市は播磨だ、けれど山の方は丹波でその北は丹後だ。僕達が今話しているのは丹後と言われた辺りだ。
「違う国でしたね」
「それだけ違いますね」
 今は同じ兵庫県でもだ。
「それは奈良県や兵庫県でも同じです」
「奈良は確か」
 円香さんの故郷のこの県はというと。
「北は人が多くて交通の便もいいですけれど」
「南は山が多く」
「人も少ないんですよね」
「はい、かなり」
「それで京都も」
「京都市と舞鶴市がありまして」
 こちらも北と南だ、南が京都市だ。
「山を越えていきます」
「舞鶴市にですね」
「ですから京都府も全体で見ると移動が大変です」
「そうでしたね」
「和歌山も東の方は大変だったりします」 
 中心の和歌山市から行くにはだ。 
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