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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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メスト

少し遡り、天狼島周辺にて・・・第三者side

「あれが天狼島よ」
「しかし、本当についてきちまってよかったのかよ」
「いいのよ。見学するだけだし」

シャルルとリリーは、シリルたちが昇格試験を行っている天狼島へと向かっていた。

「ウェンディたちのことが、心配なんだな」
「っ!?私はあんなに反対したのに!!あの子!!」

シャルルは顔を真っ赤にして怒鳴る。リリーはそれを見て、やれやれとため息をついた。

「あれは一週間前のことだったわ」

シャルルは一週間前、メストがウェンディを誘い、ウェンディがそれを受けてしまった話をした。

「・・・で、結局ミストガンの代わりに、メストを手助けするんだって聞かなくなっちゃって」
「それでお互い、一週間も口を聞かんとはね」
「見かけによらず頑固なのよ」
「あんたもな」

ウェンディを頑固だと言ったシャルルにリリーは突っ込む。

「メストがどんな奴なんて、私はどうでもいいの。この試験とか言うもの自体が、すごく嫌な予感がするのよ」
「例の予知能力か」
「どうかしら。断片的すぎて、なんとも言えないけどね・・・」

シャルルは暗い声でそう言う。確かに未来の映像は断片的だったが、それでも、あまりにもマイナス要素にしか見えない映像ばかりだったため、シャルルは相当不安になっていた。

「俺は、そのメストって奴の方が気になるな」
「え?」

リリーの突然の呟きに、シャルルは?を浮かべる。

王子(ミストガン)の弟子・・・なんか引っ掛かる・・・」

リリーは顎に手を当てて、自分の感じている違和感の正体を考えていた。

























一方、そのメストとウェンディはというと・・・

「ぶほぉっ!!」
「メストさん!!」

グレイとロキに倒されて気絶したメストが目を覚ます。それを見て、ウェンディは少し安心する。

「まさかこいつらが、こんなに強かったなんて知らなかった」
「そりゃあ強いですよ」

メストは岩にぶつけた頭をさすりながら上体を起こす。メストはそのまま、勢いをつけて立ち上がる。

「だが!我が師ミストガンのあとを継ぐため、 俺は負けられない!!
かかってこい!!グレイ!!ロキ!!」

メストはそう言いながら構えるが・・・

「あれ?」

そこにはすでに、グレイとロキの姿はなく、メストとウェンディの二人しかいなかった。

「あの・・・私たち負けちゃったんです・・・」
「知らなかったー!!」

ウェンディに結果を教えられメストは頭を抱えて叫んだ。

「メストさんが気絶している間に、グレイさんたちは先へ」
「・・・・・はぁ~あ、今年もダメだったかぁ・・・」

メストはグレイたちが向かった方を見たあと、ガッカリと肩を落とす。

「私が役に立たなかったから・・・頑張ろうって決めてたのに・・・」

ウェンディは自分がメストの役に立てなかったことに悲しくなり、顔を覆って涙を流す。
ちなみに、ウェンディはグレイとロキが梅干しを食べて、その( ̄* ̄)顔にやられてしまってたりする。
メストはそんなウェンディの方を見る。

「いや・・・いいんだ。それより、ケガはなかったかい?」
「・・・うん・・・」

ウェンディは顔を隠したままうなずく。メストはそれを見て安堵の表情を浮かべる。

























その頃、シリルたち一次試験合格者たちは・・・シリルside

「では、S級魔導士昇格試験、二次試験の内容を発表する」

俺たちはマスターの方に視線を移す。
一次試験は運と武力を試す試験だったからなぁ・・・二次試験は何を試す試験なんだ?

「二次試験はこの島のどこかにある、初代ギルドマスター、メイビスの墓を探すこと」
「初代ギルドマスター?」
「メイビスの墓・・・」
「なーんだ、簡単じゃねぇか」
「あい!」

ナツさんたちは試験内容を聞いてそう言う。確かに、一次試験とは違って運も武力も関係ない。ただ、島の至るところ探してお墓を見つければいいだけなのか。それなら楽に合格できそうな気がするぞ?

「制限時間は6時間!!いいか?6時間(・・・)じゃぞ?」

ん?なんでそんなに制限時間を強調した?

「ワシはメイビスの墓で待っておるぞ」

マスターはそういってその場からいなくなる。あれ?この試験の目的は?

「よっしゃー!!いくぞハッピー!!」
「あいさー!!」

ナツさんとハッピーは早々に動き始める。制限時間は6時間。それだけあれば、お墓を見つけるくらいは簡単にできるはずだ!!

「俺たちもいこうぜ!!セシリー!!」
「うん!!」

俺たちも二次試験合格に向けて走り出した。























第三者side

「うぅ・・・ひっく・・・」
「いつまでそんな顔をしてるんだ?」
「だって・・・だってぇ・・・」

ウェンディはメストを一次試験突破させることができなかったことに、いまだに涙を流していた。
メストはウェンディの隣で、空を見上げて話し出す。

「なぁウェンディ。 この島がなぜ|妖精の尻尾の聖地と呼ばれているか、知ってるか?」
「うぇ?」

ウェンディはメストの問いに、顔を上げる。

「初代マスター、メイビスが眠る地だからですよね?」

ウェンディは船でマスターの言っていたことを言う。

「ああ。だがそれだけじゃないんだ。この島は普段、強力な結界によって隠されていて、いかなる魔法をもってしても探し出すことはできないそうだ」
「へぇ~!」
「それはただ、メイビスの墓があるからだけではないんだ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)についての、ある重大な秘密があり、この島に隠されてるらしい」
「なんですか?それは」

ウェンディは気になり質問すると、メストはその場に立ち上がる。

「俺も知らないんだ。どうだろう、探検してみないか?」

メストにそう言われたウェンディは、目を輝かせる。天狼島に眠る秘密、それはウェンディにとって、とても興味深いものであった。
二人は洞窟を後にして、島の探索を開始した。


























一方、リリーとシャルルは天狼島へと到着し、今は海岸を歩いていた。

「王子・・・いや、ミストガンはこっちの世界で、人と接触するのを避けていた」
「ギルドによるときも、わざわざ全員を眠らせて、顔がバレないようにしてたらしいわね」

リリーとシャルルは、ミストガンがこちら(アースランド)での行動を話していた。

「そのミストガンが、弟子を持つとは考えにくい」
「何が言いたいの?」
「う~ん・・・ものすごい突拍子もない推察なんだが・・・メストと言う男、本当にギルドの一員なのか?」

リリーの推察に、シャルルは呆然としていた。


















「キレイなとこですね!!」
「気を付けて」

洞窟からでて、島を探索し始めたメストとウェンディ。
ウェンディは海を一望できるところで、身を乗り出して青い海を見ていた。
メストはそんなウェンディの見ている。だが・・・

「・・・・・」

その表情は、ウェンディを見守っているというよりも、見下しているといった表情であった・・・まるで、何も知らない無知な子を見ているかのように・・・






















別の場所では、二次試験が行われており、出場者たちは懸命に走り回っていた。墓を探すのとは別の意味で・・・シリルside

「うわあああああああ!!」
「なにこれ~!!」

俺たちは二次試験で初代ギルドマスター、メイビス・ヴァーミリオンの墓を探していたのだが、今はそれどころじゃない!!
俺たちのことを後ろからアルマジロみたいな生き物に追い回されていた。ていうか、

「このアルマジロ大きすぎじゃない!?」
「ゴロマジロって言うんだよ~!!かなり大きいけど~!!」

どう見ても俺の10倍の大きさはある!そんなのが口を開けて追いかけてくるだもん!一瞬でも気を抜いたら食べられる~!!

「あ!!」

俺は走っている最中に、いい感じに急角度のコーナーを見つけた。あそこで振り払うか!!

「セシリー!!あのコーナーで振りきるぞ!!」
「おっけ~!!」

俺たちは一気に走っていき、コーナーで体を反転させて草の茂みに隠れる。
ゴロマジロはそのコーナーを曲がりきれずに壁へと衝突し、気を失っていた。

「やった!!」
「はぁ~、食べられるかと思った~」

俺とセシリーはとりあえずひと安心・・・あれ?

「セシリー?」
「な~に?」

俺はここまで一生懸命に逃げてから、あることに気づいた。

「セシリー飛べるんだからさぁ、空飛んで逃げればよかったんじゃない?」
「あ!!」

セシリーもどうやら忘れていたみたいで、俺に言われてビックリする。

「なんで気づかなかったんだろ~」
「まぁいいや。早くお墓を探しに行こうぜ」
「うん!!」

俺たちは初代マスターの墓を探すため、再び歩き出した。

グニッ

「「?」」

あれ?今何か踏んだような・・・

「モーー!!」
「「ぎゃーー!!」」

俺たちが踏んでしまったのは、ブドラゴスの尻尾!!尻尾を踏まれたブドラゴスは興奮してしまい、俺たちを追いかけてきた!!

「また逃げるの~!?」
「セシリー!!(エーラ)!!」
「あ!!そうだった~」

セシリーが(エーラ)を出して俺たちは空高く飛び上がる。ブドラゴスはそれを地団駄を踏みながら悔しそうに見上げている。

「へへ~!!ザマーミロ~」
「ちゃんと俺たちは学習するんだぜ!!」

俺たちはブドラゴスを見下ろしながらそう話す。でも、しばらくは下に降りれなくなっちゃったな・・・しょうがない、空を飛んで探すか・・・
俺たちは空から初代マスターのお墓を探すことにした。
それにしてもなぁ・・・

「ヒントも無しにお墓を探せなんて・・・この二次試験は何を目的としてるんだ?」

一次試験は目的をきっちりと説明してたからまだやりやすかったけど、二次試験は何を求められてるのか全然わからない。だからどうやってお墓を探せばいいのかもさっぱりだ・・・

「ヒント無しってことは、二次試験は“忍耐力”とか“我慢強さ”を目的にしてるとか~?」
「ああ。なるほど」

セシリーにそう言われ、俺はなんとなく納得する。6時間もあれば島全体を探すことくらいできるだろう。だから諦めず、辛抱強く探し続けろよ~ってことかもな!!

「そうと決まれば、片っ端から探すぞ!!」
「うん!!絶対に初代マスターのお墓を見つけよう!!」

よし、ならまずは、

「島の頂上に行ってみない?」
「ん~?」

俺の言葉にセシリーは首をかしげる。ほらだって、

「この島って、なんか変な形してたでしょ?」
「うん。そういえば、島の上に島みたいなのがあったよね~」

船から天狼島を見た時、明らかにおかしいと思ったんだよ。だって、あんな形の島なんか普通ないでしょ?

「だからもしかしたら、あの島の上の島にお墓があるんじゃないかな?と思って」
「なるほど~!!そうと決まれば!!」

俺たちは大急ぎで島の上の島へと向かった。たぶん他の人たちは気づいても登って来れないだろうけど、ナツさんがハッピーを連れているからな。ナツさんも同じことを考えてたら厄介だし、できるだけ早く行こう!!




























俺たちが島の上方へと向かっていると、別のところから同じように島の上方を目指す人影を発見する。もしかして・・・

「ナツさん!!」
「ハッピー!!」
「あれ?セシリー!!」
「シリルじゃねぇか。なんだぁ、お前たちも同じことを考えてたみたいだな」

俺たちはナツさんとハッピーに近づいていく。でもまぁ、他の人たちには登って来れないからいいんだけど。

「ナツさんたちも、やっぱり頂上のところにお墓があると思いましたか?」
「おお!!だってこの島の形、すっげぇ違和感あっただろ?>

やっぱりナツさんたちも俺たちと考えていたことは一緒か。だってヒントが無いんじゃ、どうしようもないし・・・勘がものを言うよね!!

「どっちが一番上までいけるか、競争しようぜ!!」
「いいですね!!」
「あのさ~・・・」
「飛んでるのは僕たちなんだけど~・・・」

俺とナツさんが競争しようと話していると、セシリーたちはあきれた口調で言う。細かいことは気にしない気にしない!!

「よーし!!よーい・・・!!」
「「「?」」」

俺たちが競争を始めようとした時、突然ナツさんが下を向く。どうしたんだ?

「ハッピー、俺を今すぐ落とせ」
「ええ!?」

ナツさんにいきなりそう言われ、ハッピーは驚く。落とせって・・・相当高いですよここ!!

「ナツさん!!どうしたんですか!?」
「ナツくん!?」
「ナツー!!こんなとこから落ちたら死んじゃうよ?」
「いいから早くしろ!!」
「あいさー!!」

ハッピーはナツさんに言われて、ナツさんを掴んでいた手を離してしまう。
ナツさんは当然、猛スピードで下降していく。

「ハッピー!!何手を離してるの!!」
「だってナツが・・・」
「今はそんなことより、早くナツくんのところに急ごうよ~!!」
「そうだね」
「あい!!」

俺たちは落としたナツさんの元へと、大急ぎで飛んでいった。ナツさん・・・死んでないといいけど・・・























その頃・・・第三者side

「漢たるもの!敵から逃げるべからず!!」
「うるさい!!少しは、黙ってられないの!!」

エルフマンとエバーグリーンは、巨大なブドラゴスから懸命に逃げていた。ブドラゴスはそんな二人に攻撃をしようとする。

「あぶねぇ!!」
「きゃああ!!」

エルフマンはブドラゴスの攻撃にいち早く反応し、エバーグリーンを抱き締めるようにして攻撃から避ける。
ブドラゴスの攻撃は、二人の元いた場所を破壊し、砂煙が舞い上がる。

「うおお!!」
「きゃああ!!」

しかし、避けた二人は近くにあった傾斜に乗ってしまい、ごろごろと転がっていってしまう。
ブドラゴスは二人を追いかけようとするが、二人は穴の中に転がっていってしまい、ブドラゴスは二人を追いかけることはできなかった。

ズトーン

転がっていった二人は、平地になっているところまで来て、ようやく止まる。

「ん・・・」
「いってぇ・・・」

エルフマンがエバーグリーンを抱いたままそう言うと、エバーグリーンは慌てた様子でエルフマンを突き飛ばす。

「ちょっと、何やってんのよ!!」
「おるぼぁ!!」
「さっきの作戦は、ミラを動揺させるための狂言よ!!『まさか、こいつちょっと俺に気があるんじゃ』とかおもってないでしょうね!!」

エバーグリーンはそう怒鳴るが、エルフマンは何のことやらさっぱりわからず呆然としている。

「思ってねーよ。けど、おめぇには感謝してる!まさかあんなヒキョーな作戦を思い付くとはな」
「ヒキョー言うな・・・」

ガサッ

「「ん?」」

二人が見つめあって話していると、近くの森の中から物音がしたため、そちらに視線を移す。

「人?」

二人の視線の先には、見たこともない黒髪の男がいた。

「人なのかい?こんな島に人が・・・」

エルフマンとエバーグリーンは不審に思いながらも、その男の方へと歩み寄る。

「ここなら誰もいないと思っていたのに・・・」

男はどことなく、寂しげな顔でそう言った。

「誰だ貴様は!?」
「ここは、うちのギルドの者しか入れないのよ!」
「ギルド?そうか・・・ギルドの管理する島だったのか」

どうやら男は、ここが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の聖地であることを知らないようである。

「オイてめぇ!!」
「ダメだ!!」
「「!!」」

エルフマンが男に接近しようとすると、男は急に大声を出す。エルフマンとエバーグリーンはその声に驚く。

「僕に近づいてはいけない」

男は右手を前に出し、二人に近寄らないように言う。

「何を言ってやがる」
「わかった。出ていくよ。だからお願いだ、僕に近づかないで」

男は抵抗するでもなく、そう言った。

「何なの?こいつ」
「放っておいていいのか?」

エルフマンとエバーグリーンは、この男の不思議な雰囲気に、何かを感じていた。

「うっ!!・・・だ・・・ダメだ・・・」

すると、男は突然震えだし、頭を抱える。その呼吸は、先程までとは違い、大きく乱れていた。

「死の捕食が・・・来てしまう・・・」

そう言うと、男の体から、黒く、禍々しいオーラを纏った波動が放たれる。
それは、木々を枯らしながら二人へと襲いかかる。

「伏せろー!!」
「ふが!」
「んあ!」

二人に闇の波動がぶつかる直前で、先ほどハッピーに落とさせたナツが現れて、二人を伏せさせる。
闇の波動は、三人の上を通過して、辺りの草木を枯らした。

ナツは少し体を起こし、男の方を見る。
男も、ナツの方をただただ見つめていた。

「な・・・」
「?」

男は突然、目から涙を流し始める。

「ナツ・・・」

男はずっと求めていた相手を見つけ、その者の名前を呟いた。
名前を呼ばれたナツは、男の方を見つめ・・・

「お前は・・・お前は誰だ!!」

自分の名を知る、見ず知らずの男に、そう叫んだ。









 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
エルフマンとエバーグリーンの子供って、本当にミラが想像したみたいな子になるんですかね?
次回もよろしくお願いします。  
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