FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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一次試験!!勝つのは誰だ!?
俺たちの前に立っている男を見て、俺とセシリーは目を点にする。
小さい背丈・・・白髪頭ではあるが、頭の上側が禿げており、なぜかアロハシャツを来た老人・・・つまり、
「「マスター!?」」
そう、妖精の尻尾のマスター、マカロフ・ドレアーさんです。え?
「あの~・・・」
「どうした?シリル」
マスターは俺の方を見てそう言う。偽物とかかな?とも思ったけど、しゃべるってことは本物ですね。
つまり・・・非常にまずい展開の予感がする・・・
「なんでマスターがここにいるんですか?」
「僕たちと一緒に、船で来てましたよね~?」
「安心せぇ。ワシは思念体じゃ」
なるほどぉ、思念体か。そういうことなんだぁ・・・ということは?
「もしかして、ここって“静”のルートですか?」
思念体ってことは、戦うことはできないでしょ?つまりここは・・・
「何を言っておる。ここは静ではない。大激闘じゃ!」
「「ええっ!?」」
よりにもよって最難関ルートの大激闘!?でも・・・思念体でどうやって戦う・・・あ!!
そういえば・・・
「確か、エルザさんの話だと、ニルヴァーナの時のジェラールの“思念体”が、聖十大魔導だったんだよね?」
「そういえばそんな話もあったよね~」
確か、聖十大魔導の10人のうち、突然3人が聖十を辞退したせいで急遽力のある魔導士を聖十大魔導に入れたときに入ったんだよなぁ。
その時に入ったのがジェラール(思念体)とジュラさんとマスタージョゼだっけ?いや、そんなことより!
「つまり思念体も戦えるってことか!?」
「ええっ!?それってまずくない!?」
マスターは聖十大魔導なんだから、メチャクチャ強いんですよね!?そんなのと当たるなんて・・・ついてねぇ・・・
「大丈夫じゃ。ある程度手は抜くし、この思念体もそこまで強くないからのぉ」
「「へぇ~」」
そう言われて少し安心する。聖十大魔導の力だったらまず勝てないけど、それほどは力がないのだとしたら・・・勝機はある!!・・・気がする。
「セシリー。格上に勝つときの戦法って分かる?」
「もちろん!あれでしょ~?」
俺とセシリーは小声でそう話し、コクンッとうなずく。格上を倒す一番の戦法・・・それは、
「「奇襲だ!!」」
俺とセシリーはマスターに飛びかかる。船の上で試験開始を宣言してたから、この通話に入った段階で、すでに勝負は始まってるんだ!!
「水竜の・・・鉄拳!!」
ドガッ
俺が鉄拳でマスターに攻撃するが、マスターはそれをジャンプで避ける。
しかし、
ガシッ
「!?」
マスターが避けた先には、セシリーがいた。マスターなら、不意をついても避けると思ってたからな!セシリーの方に避けてくれたのはラッキーだったけど。
「行くよ!シリル~!!」
「よし!!来い!!」
「何を・・・ぬおっ!」
セシリーはマスターをこちらに向かって投げてくる。俺はそれに向かって、
「水竜の・・・砕牙!!」
「ハァッ!!」
マスターは俺の攻撃を腕で弾いた。マジ!?
「まだまだ!!」
「来い!!」
「水竜の、咆哮!!」
「巨人化!!」
俺のブレスをマスターは右手を大きくして受け止める。なんだよこれ!?全然勝てる気しないんだけど!?
「どうした?もう終わりか?」
「くぅ~・・・」
マスターは全然余裕だし・・・何か突破口はないのか?
一方、他のルートでは・・・第三者side
「なるほど。お前たちと闘えということか」
「の・・・残り物にはなんだって?ルーシィ」
「雷神衆・・・」
一番最後にルートに入ったカナ&ルーシィペアは雷神衆のフリード、ビッグスローと相対していた。
カナとルーシィはあまりの強敵に目が点になってしまっていた。
「「きゃああああ!!」」
一方、ジュビア&リサーチペアは苦戦していた。その相手はというと・・・
「どうしたジュビア。そんなことでは、S級魔導士にはなれんぞ!」
手の抜けない女騎士、エルザ・スカーレットだった。
「海王の鎧!?完全にジュビアの水を防ぐ気だ!!」
ジュビアはゆっくりと立ち上がる。
「ジュビアは、あなたに勝つ!!」
ジュビアは体を水にして、エルザに向かったが、簡単に切り払われた。
「水流斬破!!」
しかし、ジュビアの斬激はエルザの剣に防がれる。
「水流斬破を防ぐなんて!!」
「もらったわよ!エルザ!!」
ジュビアの攻撃を防いだエルザに、上空からリサーナが襲いかかる。
しかし、エルザはそれを簡単に交わし、逆にリサーナに蹴りを入れる。
「接収!!」
リサーナはウサギに接収し、エルザに立ち向かうが、エルザはそれをヒラリと避ける。
「腕を上げたな、リサーナ。だが、相変わらず間合いが甘い。それでは失格だ!」
「いきなりダメ出し!?」
手加減を知らない女騎士に、ジュビアとリサーナはただただ圧倒されていた。
「よ・・・よりによって・・・」
「こいつと当たるなんて・・・」
一方、エルフマン&エバーグリーンペアは、目の前に立ちはだかる女を見て、そういった。
「弟でも、手加減はしないわよ。エルフマン」
「ひぃぃぃぃっ!!」
「何よ!!私だっているんだからぁ!!」
接収したミラジェーンの前に、二人は顔を真っ青にして怯えていた。
「知りたい。お前たちの、実力というものを俺は知りたい」
「くっ・・・」
一方、メスト&ウェンディペアはグレイ&ロキペアと闘のルートでぶつかっていた。
そして・・・
「エルザー!!早く出てこーーい!!勝負しろやー!!」
「まだエルザのいるルートだと決まってないんだよ?」
「いいや!!俺はエルザのEに入った!!この先にエルザを倒して、俺はS級魔導士になるんだ!!」
ナツ&ハッピーペアは、エルザがいるルートと思い込み、エルザの名前を連呼しながら奥へと入っていた。
二人がしばらく歩いていると、徐々に道が開けてくる。
すると、その二人の目の前に、一人の人影が見えてくる。
「誰かいるぞ?」
「誰だろう?」
二人はその人物をよく見て、それが誰だか分かると、呆然とする。
「ギルダーツ!!」
「ようナツ。運がなかったな」
「終わった・・・」
二人の相手はギルダーツ。ハッピーは負けを確信し、涙を流す。だが
「燃えてきたぞ!!」
ナツはギルダーツを見て、逆に闘志に火がついていた。
シリルたちは・・・シリルside
「「ハァハァハァ・・・」」
俺たちはマスターの思念体といまだに戦ってるんだけど・・・なんかこっちが消耗してるだけのような気がしてきた。
「さすがじゃのぉ。エルザが推薦する気持ちがよく分かったわ」
「そうでしょ?だったらもう合格で・・・」
「ダメじゃ」
「「ケチ!!」」
いいじゃんか!!ちょっとくらいおまけしてくれても!!
とは言っても・・・なんか勝ち方のビジョンが見えてこないなぁ・・・一瞬の隙に攻撃を叩き込めれば・・・
「セシリー」コソッ
「何?」コソッ
エドラスの俺が使ってた魔法・・・あれっぽいのを出されたら、いくらマスターといえど避けられないはず!そのためには、魔力を溜める時間が必要だからなぁ・・・
「ちょっとだけ時間を稼いでおいてくれない?」
「何するの~ ?」
「いいからやる!!」
「うん!!」
そういってセシリーはマスターの方へと飛んでいく。よし!今のうちに・・・
「エドシリルの第四魔法陣・・・水しぶきだったら・・・」
あの魔法はありとあらゆる方向へと攻撃できたからなぁ。なんとなくだけど、ようは水を分散させて撒き散らせばできると思うんだよなぁ。
その間にも、セシリーはマスターの回りをちょこまかと飛び回っていた。ありがとうセシリー!!
「水竜の・・・」
俺は両手で水の球体を作り、それを地面に叩きつける。
「水しぶき!!」
「なっ!?」
「えっ!?ちょっ!!シリル~!!」
俺の放った水しぶきはマスターの思念体を壁へと叩きつける。間違ってセシリーまで壁にぶつけちゃったけど・・・
ポンッ
マスターの思念体は壁に叩きつけられた衝撃で消滅した。やった!!勝った!!
「勝ったぞ!!セシリー!!」
「そ・・・その前に謝ってよ~・・・」
セシリーは俺の攻撃のせいで動けなくなっていた。ごめんごめん。
俺はセシリーを治癒魔法で回復させ、二人で一次試験通過者の集まる集合場所へと駆けていった。
集合場所へと向かう途中・・・
「まだなのかな?」
「ずいぶん歩くみたいだね~」
洞窟の中は道が入り組んでいて、なかなか出口が見えなかった。すると、
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ
「「!?」」
突然地面が揺れ、大気が震えだす。なんだこれ!?
「誰かの魔力!?」
「こんなに強い魔力の人って・・・」
誰だ?このすごい魔力を発しているのは・・・そのまましばらく立ち止まっていると、大地の揺れが収まる。
「収まった・・・」
「なんだったのかな~?」
俺とセシリーはあまりの揺れに少々恐怖を感じたが、気を取り直して出口へと向かう。
実はこの揺れ、ギルダーツさんが本気になったために起きたものだったらしい。
ナツさんに対して、何かを教えるために本気を出した結果、天狼島全体が揺れたわけだ。
しばらくすると・・・
「お?あそこから光が入ってきてるぞ?」
「出口だ~!!」
俺たちは出口を見つけたので急いでそちらに向かう。その出口から出ると辺りは太陽で照らされていた。
「「ついた~!!」」
「あれ?シリルとセシリー!!」
俺たちを呼ぶ声が聞こえ、そちらを見ると、そこにはレビィさんとガジルさんがすでに到着していた。
「レビィさん!!」
「ガジルくんも~!!突破してたんだ~!!」
「えへへ」
「ちっ」
俺たちがそう言うと、レビィさんはピースをし、ガジルさんはなぜかそっぽを向いて苛立っていた。
「どうしたんですか?」
「えっとね・・・私たち、静のルートを通ってきたんだけど・・・」
「誰も殴れなかったんだよ!!クソッ!!」
なるほどなぁ・・・ガジルさんは色んな人と戦いたくてこの試験についてきたみたいだから、静のルートじゃつまらなかったわけだ。
「あれ?レビィちゃん!!」
「シリルも通過してたんだ」
すると、今度は二人の女の人の声が聞こえてくる。この声は・・・
「ルーシィさん!!」
「カナさんも!!」
「ルーちゃんも合格したんだ!!」
レビィさんとルーシィさんは二人で手を握りあって喜んでいる。レビィさん、ルーシィさんはあくまでパートナーですからね?試験者はカナさんですからね?
「あ!!セシリー!!」
「? ハッピー!!」
「・・・・・」
今度はナツさんとハッピーが洞窟から出てくる。だけど、ナツさんの表情がなぜか暗い。何かあったのかな?
「ナツさん?」
「・・・・・」
俺はナツさんに声をかけたが、ナツさんは何も答えずに俺の脇を通り抜け、大きな岩に腰かける。
「ハッピー、あれどうしたの~?」
「色々あってね~・・・」
ハッピーはセシリーにそう答える。色々ってなんだ?ここに来たってことは、合格したってことなんだから、ナツさんなら大喜びしてそうなのに・・・
「グレイ!!ロキ!!」
「お!」
ルーシィさんが名前を呼ぶ声がして、俺はそちらを向く。今度はグレイさんとロキさんか。なんやかんやで合格者多いなぁ・・・今の段階で5組か。最大だとあと2組だな。
「やっぱり、一次試験を突破してきたんだね」
「とりあえず、おめでとう」
「私たち、静のルートでラッキーだったね」
「どこが!!誰もなぐれなかっだぞ!!」
ガジルさんはいまだに期限悪いなぁ。だったら俺が静を通りたかったなぁ・・・マスターの思念体、なんか強かったし。
「一次試験を突破できたのはこれだけか?」
「ナツは?」
「あっちにいるよ」
ハッピーがナツさんの方を指さす。グレイさんたちも、ナツさんの落ち込み方に疑問を持っているようだな。
「さて・・・これで全員出揃ったかな?」
マスターが森の中から歩いてくる。なんだ・・・ウェンディは落ちちゃったのか・・・残念。
「では、これまでの結果を発表する。
カナとルーシィは、フリード、ビッグスローを闘で破り、突破」
「ふふん♪」
「何!?」
「ええっ!?」
マスターの発表に俺とグレイさんは驚く。フリードさんとビッグスローさんって、かなり強いって話だったよね!?ルーシィさんとカナさんって実は最強?
「ナツとハッピーは、ギルダーツの難関をクリアし、突破」
「ウソだー!!」
「マジですか!?」
「オイラ、何もしてないけどね」
ハッピーが何もしてないってことは、ナツさんが一人で倒したってこと!?なのになんで落ち込んでるんだ!?疲れたのか!?
「シリルとセシリーは、ワシの思念体を破り、突破」
「なんだと!?」
グレイさんがまたもや驚く。まぁ、頑張りましたからね!!
「レビィとガジルは、運よく静のルートを通り、突破」
「へへっ」
「運がいいだと!?」
ガジルさん・・・食いつきすぎです・・・
「グレイとロキは、メストとウェンディを闘で破り、突破」
「ジュビアは落ちちまったのか」
ウェンディはグレイさんたちに負けたのか・・・でも・・・
「グレイさん、ジュビアさんのことが心配なんですね」
「グレイは素直じゃないんだよ」
俺とロキさんは小声でそう話す。グレイさんも、ジュビアさんのことが気になるんですね。
ちなみに、ジュビアさんはエルザさんに負けたようです。
「じゃああとは、エルフマンとエバーグリーンね」
「でも、消去法でいくと残るルートは・・・」
「み・・・ミラさん・・・」
俺たちはエルフマンさんたちがかわいそうになってきた・・・あの人、本性は怖いらしいからなぁ・・・
「ちょっと待てーい!!」
「?」
今の声・・・エルフマンさん?
「俺らも姉ちゃん倒してきたぞぉ!!」
「一次試験突破よ!!」
二人はボロボロで互いに支え合いながら歩いてきた。でもすげぇな!!ミラさんもめっちゃ強いって話なのに!!
「なんと!!」
「どうやってあのミラを・・・」
ハッピーがエルフマンさんたちに質問すると、エルフマンさんの表情がひきつる。え?なんで?
「それは言えん!!漢として!!」
「一瞬の隙をついたとだけ言っておくわ」
この二人は何をしたんですか!?そんな人にも言えないようなことって!!
「コホン。ともかく、一次試験突破チームは、ナツとハッピー。グレイとロキ。シリルとセシリー。レビィとガジル。カナとルーシィ。エルフマンとエバーグリーン、この六組とする」
結局、最大合格数の七組に一組足りなかっただけか。すごい合格率の高さだ。
「そしてこれより、二次試験を開始する」
すぐに二次試験に入るのか。一体どんな試験をするんだ?
俺がマスターの次の言葉を待っていると・・・
「わかったよ。ギルダーツ」
ナツさんは何かを呟き、立ち上がる。
「グレイ!!カナ!!レビィ!!エルフマン!!シリル!!誰がS級魔導士になるか勝負だ!!」
いつのまにか元通りのナツさんに戻っていた。やっぱりナツさんはこうでないと。
「今回の俺は、結構強いですよ」
「お前にだけは負けねぇよ」
「フッ」
「私だって!!」
「その勝負、漢として受けて立ーーつ!!」
俺たちもナツさんの宣戦布告に乗る。あんなに頑張って一次試験を突破したんだ。ここで勝たなきゃウソだろ!!
「燃えてきたー!!」
「あいさー!!」
「絶対シリルを勝たせるからね~!!」
「あたしはぜぇ~ったい、カナをS級にするの!!」
「たとえルーシィでも、僕は手を抜かないよ」
「ギヒヒ。吠えてろクズが」
「漢たるものぉ、ぐほばっ」
「エルフマン、しっかりなさ・・・ぐふん!」
「さすがにこの二人は・・・」
「ねーかな」
俺たちはパートナーたちも全員に気合いが入る。ここまで来たら、なんとしてでもS級になってやるぞ!!
後書き
いかがだったでしょうか。
シリル対マカロフ、かなりぐだぐだでしたね・・・すみません。
本当は、シリルも静のルートを通らせてあげようかとも思ってたのですが、さすがにそれはダメじゃないかと思い、シリルにも戦ってもらいました。
ちなみに、この話の最初の方に出てきた聖十をやめた3人も、後々出てくる予定です。
次回もよろしくお願いします。
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