八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十五話 夏休み前その十
「あのコーヒーも」
「そうよね、私もね」
詩織さんもだ、小夜子さんに答えた。
「代用コーヒー飲みたくなったわ」
「私もです」
「それでどうやって作ってたの?代用コーヒーって」
「蒲公英から作っていたとか」
「へえ、あのお花から」
「蒲公英は食べることが出来ますので」
「そうそう、蒲公英はね」
詩織さんもそのことは知っていてだ、それで答えたのだった。
「食べられるのよね」
「アラスカとかで食べていたんだよね」
僕も蒲公英は食べられることは知っていた、それで答えた。
「ビタミン源として」
「そうです」
その通りだとだ、小夜子さんはまた答えてくれた。
「ですから代用コーヒーもです」
「ビタミン摂れるんだ」
「お茶と一緒だね」
「麦茶と同じ味で」
「そうだよね」
「はい、お茶ですね」
小夜子さんはこうしたことを話しながらだった、お抹茶を飲んだ。そして僕と詩織さんはコーヒーを飲んだ。その後で。
コーヒーを飲み終えたその時にだ、不意に。
チャイムが鳴った、その音を聞いてだ。僕は詩織さんと小夜子さんに言った。
「じゃあこれでね」
「ええ、急いでね」
「クラスに戻りましょう」
「それじゃあね」
こうしたことを話してだ、そして。
クラスに戻った、そうしてまた授業を受けた。
学校の授業が終わって部活も出てだ、それから。
八条荘に戻ろうとしたがここでだ、不意に。
僕は商店街に行こうと思った、それで商店街に行くと。
早百合先輩が丁渡商店街の入口におられた、裕子先輩も一緒だった。
僕はお二人を見てだ、すぐに声をかけた。
「今から商店街にですか」
「はい、音楽の本を買いに」
「今から」
「ああ、ここの商店街の本屋さんの二階ですね」
「あそこに音楽の本がかなりあるので」
「それで今から二人で行くの」
「そうですか、それで今から商店街に行かれるんですね」
また言った僕だった。
「そうですか」
「そういう義和君はどうして商店街に」
「はい、ただ気が向いて」
「それで来たのね」
「時々こうしたことがあるんです」
本当にただ気が向いてだ、商店街なり街の他の場所に行くことがだ。要するに寄り道だ。道草と言ってもいい。
「不意にです」
「道草ね、まあそれもね」
「時々ありますよね」
「そうね、私もね」
裕子さんも微笑んで話した。
「時々ね」
「そうですよね」
「ええ、それで義和君は今日は」
「本当に気が向いただけで」
「何処に行こうかも」
「考えてないです」
本当にだ、これからどうしようか何処のお店に入ろうか全く考えていない。それで僕はお二人にこう言った。
「とりあえず商店街ぶらつきます」
「そうされるのですね」
今度は早百合さんが応えてくれた。
「義和さんは」
「はい、それにしてもお二人らしいですね」
僕は自然とこの言葉を出した、そして微笑んでいることがわかった。
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