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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三十五話 夏休み前その四

「じゃあ終業式まではゆっくり出来るわね」
「勉強の方はね」
「部活はそのままで」
「そっちはね」
「いい部活に入られてよかったわ」 
 ダオさんは自分の部活のことはしみじみとした口調で言った。
「本当にね」
「悪い部活だったらね」
「行きたくないわ」
 正直な気持ちだった、ダオさんの。
「すぐに辞めるわ」
「それで他の部活に入るのね」
「合唱は好きだけれど」
 それでもというのだ。
「部活の雰囲気が悪いとね」
「面白くないから」
「いてもいいことはないから」
 それでというのだ。
「ダオその場合はすぐに辞めるの」
「それから他の部活に行くのね」
「そのつもりよ」 
 こう日菜子さんに話していた。
「変な場所にいてもね」
「幾ら自分が好きなことをしている部活でも」
「入らない方がいいわ」
「入っても辞めるべきなのね」
「いい環境になる様に努力はしないといけないけれど」
「どうしようもないのなら」
「もう辞めてね」
 他の部活に入るべきだというのだ。
「というか変な先生とかいたら」
「顧問の先生に」
「もうおかしな部活になるからね」
「確かにね、それはね」
 日菜子さんもダオさんの言葉に頷いて言った。
「空手でもそうね」
「空手だと。拳とか足使うから」
「暴力的な顧問の先生だと」
「怪我するでしょ」
「ええ」
「いい師匠につけってね」
 こうも言ったダオさんだった。
「お祖父ちゃんに言われたの」
「ダオちゃんのお祖父ちゃんに」
「そう、ジャングルで長い間戦っていたね」
 ベトナム戦争らしい、ベトナムはジューンさんの国とも水蓮さんの国とも戦っていた。その中にはエリザさんの国やラブポーンさんの国も入っていた。
「そのお祖父ちゃんに言われたの」
「いい先生について学ぶ」
「変な先生だったら逃げろってね」
「それでなのね」
「ダオも今合唱部にいるのはね」
「いい場所だからなのね」
「いい先生だしいい子達が多いから」
 だからいい場所だというのだ。
「いるのよ、それで楽しんでるの」
「若し性格が悪い輩がいれば辞めてたか」 
 留美さんがダオさんに問うた。
「その時は」
「ああ、言うけれど」
「その者にか」
「言ってもね」
 そうしてもというのだ。
「どうしようもない奴ばかりなら」
「辞めるか」
「どうしようもない位性格の悪い奴と一緒にいてもね」
 それこそとだ、また言ったダオさんだった。
「こっちが不愉快になるだけでしょ」
「性根を叩きなおそうとしてもだな」
「留美でも無理な様な奴だったらね」 
 留美さんのその生真面目な性格も指摘しての言葉だった。
「ダオに出来る筈がないから」
「逃げではないな」
「逃げって言われてもいいわよ」
 ダオさんはこの言葉にはこだわらなかった、よく逃げるという言葉は相当に否定的な意味で使われるけれど。 
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