八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十五話 夏休み前その五
「逃げてこれまでよりいい場所に行けたらいいでしょ」
「どうにもならない場所からはか」
「そう、それにね」
「それに?」
「性格の悪い奴って集まるのよ」
こうしたこともだ、ダオさんは言った。
「害虫は集まるのよ」
「花には蝶が寄るとはいうが」
「その逆もあるのよ」
質の悪い奴は質の悪い奴で集まるというのだ。
「そうなるから」
「確かにな、類は人を呼ぶ」
「そういうことだからね」
「言いたいことはわかった、どうしようもない輩か」
留美さんはお風呂上がりのすっきりとした顔で述べた。
「確かにいるな」
「そうでしょ」
「うむ、それこそ害にしかならない輩がな」
「そうした奴とは関わらない」
ダオさんは言い切った。
「それが一番よ」
「難を避けるか」
「最初からね」
「そういうことだな」
「じゃあダオ今日も部活行くから」
夏休みが見えてきた今もというのだ。
「朝から」
「皆さん今日も頑張って下さい」
畑中さんが僕達全員に優しい声をかけてくれた。
「学業に部活動に」
「はい、そうしてきます」
「やはり充実してこそです」
「学園生活もですね」
「楽しいのですから」
「じゃあ行って来ます」
僕は畑中さんに笑顔で答えた、そしてだった。
御飯を食べた後歯を磨いてバスに乗った、そして朝練の後でクラスに入ってまずは一限目の授業を受けた。
その休み時間にクラスを出るとだ、廊下で詩織さんに会って声をかけられた。
「何処に行くの?」
「いや、何となく」
僕は左手を頭の後ろにやってから答えた。
「外に出たんだ」
「そうなの」
「気分転換にね」
「そう、気分転換に」
「朝早く起きてね」
それでとだ、僕は詩織さんに答えた。
「何か眠いし」
「そうよね、朝早く起きたらね」
「後で眠くなるから」
「眠気覚ましの為にも」
「そう、一旦ね」
クラスを出たこともだ、僕は詩織さんに話した。
「これから自動販売機のところまで行って」
「コーヒー飲むの?」
「そうしようかなとも思ってるよ」
「そう、じゃあ私も」
詩織さんは僕の話を聞いてにこりとしてこう言った。
「行こうかしら」
「詩織さんもなんだ」
「私も少し眠いから」
「朝何時に起きたの?」
「四時だったの」
その時にというのだ。
「朝のね」
「僕より早いね」
「それでお風呂に入って」
「お酒抜いてたんだ」
「多分お風呂のせいもあるわね」
「ああ、お風呂に入ると」
僕も入った、だから僕自身のことにも気付いた。
「後でね」
「眠くなるわよね」
「だからなんだね」
僕はあらためて言った。
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