八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十四話 テスト終了その十四
「鎌倉時代とかね」
「あれっ、そうなの」
「調味料はお塩かお酢位だったみたいだよ」
「じゃあ和食っていっても」
ダオさんは僕のこの話をl聞いて信じられないといった顔で述べた。
「お醤油がなかったのね」
「今の和食も江戸時代に確立されていったから」
「ううん、想像が出来ないわ」
ダオさんは今の和食が江戸時代に確立されたということについてもだ、こう言った。とても信じられないという顔で。
「そんなことって」
「まあそうだろうね」
「何食べてたのよ」
それこそ江戸時代以前の日本人はというのだ。
「そもそも」
「一応その時代のお料理の資料もあるけれど」
「読んでみようかしら」
「奈良時代のお料理とかね」
「どんなのかしらね」
ダオさんはウイスキーを一杯ぐびりとやってから言った。
「奈良時代の日本のお料理って」
「チーズみたいなのもあったよ」
「ふうん、チーズね」
「そう、そういうのもあったよ」
「チーズならね」
それならとだ、また言ったダオさんだった。
「私も好きよ」
「チーズいいわよね」
ラブポーンさんは実際にダオさんの向かいの席でチーズを食べている、スライスチーズを自分で銀紙を剥がして食べている。一緒に飲んでいるのはワインだ。
「お酒のおつまみに最適よ」
「それもいいわよね」
ダオさんはラブポーンさんが食べているチーズも見た。
「お酒のあてね」
「そうでしょ」
「っていうか昔の日本にもチーズあったの」
「名前は違うけれどね」
「それ一回食べてみたいわね」
「召し上がれますわよ」
円香さんが枝豆と日本酒を飲みつつダオさんに言った。
「我が国の昔のチーズでしたら」
「あら、そうなの」
「蘇といいまして」
「蘇?」
「他には酪や醍醐もあったそうですが」
「醍醐っていうと」
ここでダオさんが言うことはというと。
「後醍醐天皇とか」
「あの方のお名前の元ですね」
「ふうん、醍醐ってチーズだったのね」
「そうした説もあります、乳製品であることは確かです」
「そうなのね」
「その蘇もです」
「食べられるのね」
ダオさんは円香さんの話に興味深そうな顔で応えた。
「今の日本で」
「奈良時代のお料理も」
「さっき義和さんが言ったけれど」
「本当にです」
円香さんはダオさんに淡々と話していた。
「ネットでも出ますよ」
「へえ、そうなのね」
「そのお料理を食べさせてくれるお店もあります」
「そのお店何処にあるの?」
「お店といいますかホテルですわ」
円香さんは自分の言葉をここで改正した。
「奈良にありまして」
「あんたの生まれ故郷の」
「そこにありますわよ」
「ふうん、奈良時代だから」
「奈良ですわ」
あの県になるというのだ。
「あちらに」
「そういうことね」
「その奈良県に行かれましたら」
「食べられるのね」
「何でしたら再現も」
「出来るの」
「如何でしょうか」
円香さんは微笑んでダオさんを誘いにかかった。
「おそらく美味しいと思いますわ」
「おそらく?」
「わたくしも口にしたことがありませんので」
それで確かなことは言えないというのだ。
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