八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十四話 テスト終了その十一
その皮を剥いてほかほかとした中身の上にバターを乗せた、それに一気にかぶりついてそれからまた言った。
「このジャガイモなのよ
「物凄く美味そうね、その食べ方」
「ジャガイモの上にバター乗せて食べるとね」
「特に美味しいのね」
「あと塩辛とか乗せても美味しいのよ」
美沙さんはダオさんにこの食べ方も話した。
「これがね」
「ふうん、そうなの」
「北海道じゃそうしても食べるの」
「面白い食べ方ね」
「やってみたらいいわ」
美沙さんはにこりと笑ってダオさんに別の茹でたジャガイモと烏賊の塩辛を差し出した。そのうえで勧めた。
「今からね」
「じゃあね」
ダオさんも受け取って答えた、そして。
その皮を剥いてだった、それから。
その上に塩辛を乗せて実際に食べてみた、そのうえでこう言った。
「恐ろしいまでに美味しいわね」
「そうでしょ」
「北海道じゃこうして食べてるのね」
「一回覚えたら病み付きになるわよ」
「なりそうね、実はベトナムではね」
「ジャガイモを食べていても」
「あくまで主食はお米よ」
この穀物が絶対だというのだ。
「ジャガイモはおかずの一つでしかないのよ」
「まあ日本でもそうだけれどね」
北海道でもだというのだ、そのジャガイモで有名な地域でも。
「そこは」
「だからこうした食べ方は」
「知らなかったのね」
「日本人恐るべしね」
「いや、そこまでは言い過ぎよ」
「実際にそう思うわ」
ダオさんはジャガイモに塩辛を乗せて食べ続けつつ美沙さんに答えた。
「この食べ方を考えつくんだから」
「確かに」
エリザさんもそのジャガイモと塩辛を食べつつ言った。
「この食べ方は狂気」
「オーストラリアでもないのね」
「茹でたジャガイモにはバター」
オーストラリアではこの食べ方だというのだ。
「それがメイン」
「そっちも滅茶苦茶美味しいけれどね」
「けれどこれはまた違った美味しさ」
同じジャガイモを食べるにしてもというのだ。
「海と大地が合わさった味」
「そうなのね」
「そしてビールも」
エリザさんは普通のビールを大ジョッキで一気に飲み干してからまた言った、小柄なのに凄い勢いで飲んでいた。
「いい」
「いや、今一気に飲んだわよね」
「ビール好きだから」
それで、とだ。エリザさんはダオさんに答えた。
「飲んだわ」
「そういえばオーストラリア人ってね」
「ビール好きっていうのね」
「そう思うけれど」
ダオさんはエリザさんの顔を見つつ答えた。
「どうなの?」
「そういえば」
そう言われてだ、エリザさんはダオさんにまた答えた。
「よく飲むわね、皆」
「そうよね、何かビールを一番ね」
「他のお酒も飲むけれど」
「こっちの国でもなのよ」
ベトナムでもというのだ。
「オーストラリア人って観光客で来てもね」
「ベトナムでもビールなの」
「やたら飲んでるわよ」
「ベトナムのビールってどんなのなの?」
「まあね、ベトナム人好みっていうかね」
ダオさんはベトナムのビールの味についてだ、首を傾げさせて答えた。
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