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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──

作者:なべさん
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SAO
~絶望と悲哀の小夜曲~
  捕食者への革命

「──というわけで、《鎧》は現在、ここにいるってさ」

律儀に、その日中に送られてきたムッツリーニからのメッセージをレンは、淡々と読み終えた。

場所は《尖白塔(せんぱくとう)》、会議室。

円形の部屋の中央にある、同じく円形のテーブルに置かれている《ミラージュ ・スフィア》は青く発光していて、とある中層の地形を丸ごとホログラフィックで宙空に表示している。

「ぬぅ、まさか本当にこの短時間でここまで調べられる輩がいようとは……まだまだ世の中捨てたものではないな」

心の底から感心しているようなヴォルティスの言葉に、レン、ユウキ、テオドラの三人がいっせいに視線を逸らす。

そんな三人をなぜか面白そうな表情で見ていたシゲクニは、ふと表情を固くし、言った。

「して、いかがされますかな?ヴォルティス卿」

ヴォルティスは数秒考え、相変わらず感情が読めないヒースクリフを見据えた。

「ヒースクリフ、現存する兵力はいかほどだ?」

ヒースクリフは、ぴくりと眉を数ミリ上げ、背後に控えていた副団長《閃光》アスナに目で合図した。

レンが目を合わせようとしたら逸らされた。未だに許されてないらしい。

進み出たアスナは、まるで事前に用意していたかのような、淡々とした口調で話し始めた。

「あの《鎧》との戦闘意欲があり、なおかつ戦闘能力が高い、ということであれば、この場の六王、ならびにその副長、さらには幹部も合わせて………二十人弱ほどかと……」

「二十人弱…か」

ユウキがぽつりと呟く。

「ちょっと厳しいんじゃあないの?」

「失礼ながら、わたくしも同意見でございます」

「だが、早くやらなければ、どんどん犠牲者が増えていくぞ!」

ユウキ、シゲクニ、そしてテオドラの意見を聞き、ヴォルティスが唸る。

会議は、平行線になりつつあった。

確かに現存戦力は少ない。が、時間をかければ戦闘意欲が高まる者も出てくるだろう。

だが、放っておくと、犠牲者が増えるのもまた事実。

だが、そんな緊迫した空気を破ったのは、血色のコートと闇色のマフラーを着た少年の言葉だった。

「心配ないよ」

全員が少年を見る。

その幼い目は、いつもはのんびりとした感情が宿っているが、今だけは違った。その目には、剣呑な光が宿っていた。

まるで、それは──

「僕が殺るから」

血塗られた殺人鬼のようだった。










とある中層の古森の中にある村。

ことを大事にしたくない、ということで、主街区から遠く離れた村に討伐隊は集合していた。

「レン……あなたも来てたの……?」

集団から少し離れた噴水の縁に腰かけていたレンに、長いプラチナブロンドの髪を揺らしながら話しかけてきたのは、灰色のミニスカートとスパッツ、黄色人種の多い中で目立つ白い肌のせいで、余計に目立つ紅い目をライトオレンジのサングラスで隠しているという、なかなかのインパクトをお持ちの美少女。

「ん?あぁ、ノエルねーちゃんか」

レンがノエルを見上げると、ノエルは許可も得ずに隣に座った。

そのことには、さしてツッコミもせず、レンはメインウィンドウを開いた。

そして、焦げ茶色の焼き鳥のようなアイテムを二つ取りだし、一つをノエルに差し出し、自分は手に残ったほうにかぶりつく。

小さく礼を言い、ノエルも焼き鳥をかじる。

「………………!」

美味しかった。

焼き鳥というよりは、牛肉のような味のそれは、とろけるような脂がじゅわっと口の中で放出され、ピリッと舌を刺激するタレが染み込んでいて、とても美味だった。

しばらく二人して、その焼き鳥っぽいものを貪るように食う。

しばらく、二人の間に妙な間が生まれる。

さらにしばらくして──レンは二個目を実体化させた──レンが口を開いた。

「……僕も六王のはしくれだからね。少なくともアレが存在してはいけないってことぐらいは解るよ」

新たな焼き鳥をかじりつつ、レンは言った。

「それに、いざとなったら助けてくれるでしょ、《灰刃》ノエルさん?」

ふてぶてしいにも程があるレンの言葉を聞き、ノエルは少し微笑む。

そして、おもむろに立ち上がってレンに背を向けたまま、鋭く言った。

「…一言だけ言っておく……」

「なに?」

ノエルは少しだけ躊躇するような表情を作り、言った。

「……ヒースクリフには、気を付けて」

それだけを言って、ノエルはプラチナブロンドの髪を揺らしながら、人混みのほうに歩いていった。

小柄な体は、すぐに人の波に紛れる。

──どーゆーことなんだろう?

レンが首を傾げた時、背後からぽんと誰かがレンの肩に手を置いた。

「よっ、レン」

振り返ると、目の前には全身黒衣の剣士が立っていた。

レンの言葉は、大声で挨拶を始めたヴォルティスの言葉でかきけされた。










「しっかし、キリトにーちゃんも来てるとは思わなかったよー」

集団の端っこで歩きながらレンが言うと、キリトも肯定する。

「全くだ。六王が来るとは聞いてたが、レンはこういったことには興味無さそうだったからな」

二人で顔を見合わせ、苦笑する。

今、集団が向かっているのは、ムッツリーニからの情報の《災禍の鎧》現在位置である。

だが、もちろんあちらも移動していると思われるため、いつもは列状になって移動している集団は、円状になり、その端にはキリトのような《索敵》スキルの高いプレイヤーが配置されており、常に周囲を警戒している。

「まーね。どこの誰が殺人をしようが、僕には関係ないしね。だけど──」

そこでレンは言葉を切り、辺りを見渡す。

次にレンが口にした言葉は風に紛れて、キリトの耳には届かなかった。

「《心意》が使われてるんだしね……」

「えっ?」

何のことだ?とキリトが言いかけた時──

「いたぞ!十時の方角!!!」

見張り役のプレイヤーの声が響きわたった。

その場に、緊張が走る。

レンとキリトはその方角に目を凝らす。

視認はできない。だが、確実にいる。

集団から少し離れた、巨大な古樹の幹の裏。

そこに、禍々しいオレンジ色のカーソルがあった。

気付かれたことを悟ったのか、ソレはぬるりと古木の裏から姿を現した。

それは異形の影だった。

ソレの全身は、黒ずんだ銀色の鏡面装甲に包まれていた。肩や胸、肘にボリュームのある、中世の騎士のような重量感。

巨大な籠手(こて)に包まれた右手には、自身の身長ほどもありそうな両刃の剣を携え、極端に先細りになった切っ先はだらりと地面に垂れている。

その剣よりも強く目を引くのが、騎士の頭部だった。

両側から後方へと長い角が伸びる、フード状のヘルメットを被っている。

しかし、本来であれば面頬のあるべきその箇所には───何もないのだ。

時刻はすでに深夜だが、周囲のキノコやらコケやらの発光のおかげで、視界には充分な明度(ガンマ)は保たれている。

だからその内部が照らし出されてもいいはずなのに、まるで実体を持つ闇がわだかまっているかの如く、フードの内部は黒一色に塗りつぶされている。

いや、よくよく目を凝らせば、その表面で生物のように蠢く漆黒の何かが確かに見える。

闇のマスクを持つ黒銀の騎士。

「あれが……《災禍の鎧》………」

誰かが放った、掠れたその声は固まっている討伐隊の中に響きわたった。

「ユルオオオオオ……!」

突如、奇怪な絶叫が迸った。

人間の声ではなかった。

獣でもない。

機械音でもない。

これまで一度たりとも聞いたことのない、異質な咆哮。

源は、騎士の顔にわだかまる暗闇だった。

仰け反ったフード型ヘルメットの下から、叫びとともに実体を持つ闇が噴出し、それはたちまちある形へと固定された。

フードの上下に並んで噛み合う、鋭利な三角の連なり。

牙だ。

漆黒の牙が、フードの縁から、まるでそこ全体が口であるかのように突き出している。

ぐぱっ。

湿った音を立てて、《口》が開いた。

内部の濃密な闇に、小さく真ん丸な二つの眼が、朧な紅に輝いた。

黒銀の騎士は、恐怖で固まっている討伐隊を楽しそうに見回し

「ユルオオオオオオ………!!!」

力強く叫んだ。

だが──

「黙れ」

五月蝿(うるさ)い」

一瞬で《鎧》に接近する二つの影。

一つは白銀(しろがね)。手には、巨大な戦斧(バトルアックス)

一つは紅。手には、巨大な十字盾。

《鎧》に肉薄した、ヴォルティスとヒースクリフは、視認できないほどの速度で己の武器を振るう。

しかし《鎧》は、手に持つ巨大な両刃剣を体の前に突き出し、いとも簡単に防御する。

だが、ヴォルティスとヒースクリフの予想外のパワー ──主にヴォルティスの──に押され、吹き飛ばされる。

すぐさま空中で、着地体制を取る《鎧》。

だが──

「行ったぞ、卿」

「後は任せた」

「「レンホウ君!」」


交声曲(カンタータ)嫉妬(エンヴィー)


二つのオレンジ色の軌跡が空間に走る。

その軌跡は宙空にいる《鎧》を正確に捕らえ、その勢いを殺さずに、足下の地面に深い傷跡を穿った。

その正確無比な一撃は、《鎧》を間違いなく両断した。

──はずだった。

黒銀の鎧は、空中という絶対的に回避ができない状況で、さらに視界的死角から放たれた一撃を体を最大限にひねって回避したのだった。

「へぇー、今のをかわすのか」

呟いたレンの背後、苔むした地面に何かが落下し、突き立った。

それは、鋭利に断ち切られた、《鎧》のヘルメットから伸びた右側の角だった。

ぐるんと振り向いた黒銀の騎士が、巨大な牙の隙間から明白な怒りの唸りを返した。

「ユルルルゥゥゥ………」

じゃりん、と右手の大剣の切っ先が地面に半円の弧を刻み込む。

フードの下で薄く開いたあぎとの奥で、深紅の眼光が激しく瞬きを繰り返す。

対して、やっと硬直から脱した討伐隊は、次々に各々の武器を構える。

そして、傍らにあるキノコが発した光が、先頭に立つヴォルティスの巨大な戦斧の、食卓ほどもある刃にキラリと反射した時──

「ユルオオオオオオー!!!!」

「おおぉぉぉぉぉぉ!!!」

両者が激突した。 
 

 
後書き
なべさん「始まりました!そーどあーとがき☆おんらいん!!」
レン「うーい」
なべさん「第一に今回登場したノエルさんについてです!」
レン「あー、あれってたしか……」
なべさん「そう!月影さんの自作キャラだよ!」
レン「なんと!すげぇ」
なべさん「はい、月影さん!ありがとうございました!送ってくださった他のキャラも、できれば出したいので、ご期待下さい!!」
レン「続いてはこのコーナー」
なべさん・レン「とーじょーじんぶつ紹介!!」
なべさん「はい、新たに登場したキャラを紹介するこのコーナー!」
レン「本当にコレいつ取ったんだ?」
なべさん「えー、今回は、何やらすんごく強そうなヴォルティス卿のステータス公開です!」
レン「えーと、卿のプロフィールは………これか。ではどーぞ!」

名前 ヴォルティス(愛称?はヴォルティス卿、閣下など)
顔 筋肉質で輪郭はまっ四角。髪の色は銀で、瞳の色は金。
体格 グラディエーターも真っ青の筋肉が、身長190センチはある体を覆っている。
装備 常時体を白銀のフルプレートアーマーに包んでいる。武器は、ちょっとしたちゃぶ台のように巨大な両刃の戦斧。
ユニークスキル 戦神斧(せんしんふ)、とにかくパワーが強く、相手の防御ごと吹っ飛ばすほどの威力を持つ。
追記 独特な喋りと、相対した者に与える圧倒的な圧力に隠されているが、実は相当な天然。

なべさん「こんな感じかな?」
レン「まっ、いいんじゃない?」
なべさん「はい、では自作キャラや感想などがあったら送ってきてください!」
レン「キャラのほうは、自作じゃなくても、何か他作品のキャラでもOKですよー!!」
──To be continued── 
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