八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十四話 テスト終了その六
「基地にも行ったりしてるわ」
「北海道は陸自さんの人多いからね」
「親切で働き者の人ばかりよ」
「陸自さんの人達が一番親切だっていうね」
「まあ他の自衛隊の人達は知らないけれど」
「陸自さんの人達はだね」
「親切ないい人達ばかりよ」
そうだったというのだ。
「とてもね」
「札幌雪祭りにも手伝ってくれたり」
「そう、色々してもらってるのよ」
「北海道では陸自さんなんだね」
「実際にね。戦車とかも見てるわよ、けれど海自さんになると」
それこそというのだった。
「あまり、なのよ」
「北海道に基地はないんだ」
「大湊はあるけれど」
それでもというのだ。
「あそこは青森だから」
「北海道じゃないから」
「あまりなのよ」
実際に縁がないというのだ。
「どうにもね」
「そうなんだね」
「だから江田島に行って」
美沙さんは期待している目になっていた、きらきらと光ってさえいる。
「海自さんも見てみたいわね」
「それはいいことだね、呉もね」
海軍時代から軍港のあるこの街についてもだ、僕は話した。
「行くから」
「あの街にもなのね」
「江田島は呉から行くから」
船でだ、あの街から定期的にフェリーが出ていてそれで行き来する。瀬戸内にはまだまだこうした船が沢山ある。
「あそこの街も行けるよ」
「そうなのね」
「もっと言えばね」
僕はここで江田島のこのことも話した。
「江田島には車でも行けるよ」
「橋もかかってるのね」
「うん、ただかなり遠回りになるんだ」
呉から入るとなるとだ。
「だからフェリーで行く方が楽なんだ」
「ふうん、そうなの」
「まあ今回の僕達の合宿は」
「フェリーで行くのよね」
「多分そうなるよ」
バスで橋を通る可能性も否定出来ないがだ。
「海でね」
「瀬戸内の海って凄いのよね」
「凄いって?」
「うん、凄く青くて奇麗だから」
それ故にというのだ。
「いい海よね」
「ああ、北海道の海は」
「暗いのよ」
眉を曇らせての言葉だった。
「重い感じで」
「北の冬の海は」
「そうなのよ、夏は涼しくても」
それでもというのだ。
「もう冬はね」
「重くて暗くて」
「そう、もうね」
それこそというのだ。
「演歌みたいなね」
「津軽海峡とかだね」
「そのままよ」
「雪とかも降って」
「冬はね、そんな海だから」
夏の瀬戸内の海はというのだ。
「好きよ、その海も見たいから」
「それじゃあ」
「行くのが楽しみになってきたよね」
「ええ、神戸の海もいいけれど」
「同じ瀬戸内海だけれどね」
「江田島の辺りはまた違うのね」
「そうなのよ」
こう話してだ、そしてだった。
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