八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十四話 テスト終了その一
第三十四話 テスト終了
テストは苦しみながらもやっていった、一時間の短いのか長いのかわからない勝負を続けていってだった。
全部終わった時にだ、クラスの誰かが言った。
「終わった終わった」
「いや、やっとね」
「終わったわね」
「今回も何とか」
そして他の皆も言った、僕もだ。
最後の現国の授業が終わった時にだ、まずは大きく息を吐き出して。
それからだ、周りの皆に言った。
「これで全部終わったね」
「ああ、後は採点してもらってな」
「テスト返してもらうだけだな」
「一学期もね」
それもだった。
「これで終わりだね」
「だよな、実質的に」
「もうこれでな」
「終わった」
「まだ少しだけ一学期はあるけれど」
「夏休みまで」
七月二十一日から夏休みだ、けれどそれまではだ。
授業がある、だから一学期はまだ続いている。けれどだ。
このテストが実質的に終わりみたいなものだ、一学期で最後のイベントであるだけに。それで僕も思った。
「夏休みになったら旅行だね」
「あとあれだよな」
「バスケ部も合宿あるわよね」
「そっちも」
「そうだよね」
「うん、アパートの旅行も計画しているけれど」
それと一緒にだった。
「合宿は決まってるよ」
「バスケ部は今年は」
こう言って来たのは同じバスケ部の喜多君だ、こんないい奴はいないという位いい奴だ。顔は少し犬系だ。
「江田島で」
「あれっ、変わったの?」
「何か急に」
「江田島になったんだ」
「他の部活も大体江田島だから」
「うちもってことになったんだ」
僕はその喜多君に問うた。
「そうなったんだ」
「最初の予定の場所を取れなかったみたいなんだよ」
「宿泊場所が」
「それでいつもの」
「江田島になったんだ」
「あそこは簡単に宿泊場所取れたみたいだよ」
「ああ、あそこはね」
江田島ならとだ、僕も納得して頷いた。
「八条グループの保養地があって」
「ホテルだってね」
「充実してるからね」
「だからだね」
「あそこで合宿することになったんだよ」
「何かあそこだとね」
江田島ならとだ、僕は喜多君の言葉を受けてまずは腕を組んだ。そのうえで喜多君に対してあらためて言った。
「一度経験あるし」
「新鮮味がないとか?」
「いや、知った場所だから」
別に新鮮味がないとかはなかった、それよりもだった。
「慣れていてね」
「安心出来る?」
「そう思えるけれど」
「じゃあプラスなんだ」
「そっちの方向だね」
僕の考えは本当にそうだった。
「いいかなってね」
「じゃあ何の問題もなく」
「行けるよ、ただ江田島は暑いから」
夏の瀬戸内だ、日差しが強い。それでだ。
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