八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十三話 期末テストその四
「こちらも」
「そうですよね」
「しかしです」
「そうした自然食の人はですね」
「そうしたことは頭の中に入れていません」
「文明の進歩で食べられるものが増えていることも」
「はい、あらゆる食べものがです」
それこそと言う小野さんだった。
「文明の進歩でよくなっているのです」
「そういうことは頭に入れないと駄目ですね」
「入れずに偉そうに吹聴している輩こそ」
「野蛮人ですね」
「真にです」
そう言っていい位だというのだ、そうしたことを話してだった。
僕達はこの日の夜はステーキとカツで縁起を担ぐと共に明日からの期末テストに挑むことにした。そしてここで。
僕はふとだ、朝にあることを思い出して起きてすぐに食堂で小野さんに尋ねた。朝食は昨日小野さんがお話してくれた通り及第粥、豚の内蔵が入ったお粥だ。
そのお粥を見つつだ、小野さんに尋ねた。
「このお粥もそうですけれど」
「豚肉ですか」
「ええと、イタワッチさん達は」
「はい、ムスリムですから」
「豚肉は、ですよね」
「駄目です」
こう僕にはっきりと答えてくれた。
「これは」
「そうですよね」
「はい、ですからイタワッチさん達にはです」
「豚肉ではなくてですね」
「羊肉のものをです」
「用意されていたんですね」
「いつも通りです」
そこはというのだ。
「確かにアッラーに謝罪すればいいとのことですが」
「それでもですね」
「やはり基本的にはです」
「出さない方がよくて」
「ですから」
昨日はというのだ。
「カツということにこだわりました」
「羊のカツですか」
「マトンの」
「それも美味しそうですね」
「そして今朝も」
ムスリムの人用にというのだ。
「内蔵も基本としてよくないので」
「別のお肉をですか」
「入れたものをお出ししています」
「やっぱり羊ですか」
「いえ、鶏です」
鶏肉をというのだ。
「入れたものです」
「そうですか、鶏肉を入れたお粥ですか」
「その及第粥をお出ししています」
「そうなんですね」
「それもいいかと思いまして」
「そうですね、つまりおじやですね」
雑炊と言ってもいいだろう、親父も結構好きでよくお鍋の後とかに作ってそれで僕にも食べさせてくれた。いつもお鍋の時はそれが最後の楽しみだ。
「あれみたいな感じですね」
「簡単に申し上げますと」
「そうですね、ただ」
「ただ?」
「一つ思うことは」
僕はあらためて小野さんに言った。
「縁起をかつぐのも宗教を考えるべきですね」
「むしろそうしたことこそです」
「宗教について考えないといけないですね」
「そう思います」
小野さんもこう僕に答えてくれた。
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