八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三十三話 期末テストその三
「これもまた美味しいのよ」
「八条グループも八条食品から出してるからね」
そのインスタントラーメンをだ、新商品も続々と出している。
「否定出来ないよね」
「インスタントラーメンを否定したら」
ここでまた言ったイタワッチさんだった。
「それだけで食べるの限られるから」
「料理漫画ならむしろ」
小野さんがここで言うことはというと。
「お父さんが主に作る」
「そちらの漫画の方がですか」
「毎回レシピも載っていますし」
「実用的でもあるんですね」
「それに登場人物も普通です」
些細なことで怒り狂う登場人物ばかりではないというのだ。そうしたおかしいとしか思えない作品世界ではなく。
「ましてや原発がどうかとも」
「ないですね」
「料理漫画で原発というのも」
「やっぱりそれも」
「おかしいです」
小野さんはまた僕達に強く言った。
「福島に何か悪意があるのかと」
「ああ、それで物凄く揉めてるんですよね」
「ああした漫画は私は料理漫画ではないと思います」
「じゃあ何なんでしょうか」
「料理漫画の名を借りた悪質な政治主張漫画です」
それがあの漫画の正体だというのだ。
「文明は否定するものではありません」
「その悪い部分も認識したうえで、ですね」
「その中で生きるべきなのです」
「何でか、ですよね」
ここで僕は首を傾げさせて言った、ステーキを食べる手を一時止めて。
「何か妙に文明を否定する人がいますね」
「はい、確かに」
「このステーキにしても」
僕はステーキも見て小野さんに話した、焼き加減も絶妙で凄く美味しい。
「あれですよね」
「はい、調理器具の質もです」
「それもよかったら」
「その分だけ味がよくなります」
「そうですよね」
「勿論それだけではありませんが」
お肉自体も塩胡椒ソースも重要だ。
「ですが」
「調理器具もですね」
「そうです、文明が進歩しますと」
「その分だけ調理器具も進歩して」
「お料理の味もよくなります」
こう僕達に話してくれた。
「そうなのですが」
「そうした人達はですね」
「どうにもです」
「わかっていない」
「わかろうとしないのです」
何か野蛮人という言葉の意味がここでわかってきた、それは文明がどうかじゃなくて人間としての品性の問題なのだ。
だからだ、あの漫画の登場人物は皆人間的な本当の意味での野蛮人なのだ。例えスーツを着ていい大学を出ていてもだ。
「それが」
「ううん、文明は否定するものではないですか」
「私はそう思います」
「そうなんですね」
「そしてです」
小野さんはまた言った。
「文明が進歩すればするだけ新たな料理も生まれますし」
「そういえばカツも」
僕は今度はそのカツをフォークとナイフで切りつつ言った。
「あれですね」
「はい、油で揚げますね」
「それが出来る技術がないと」
「出来ないお料理です」
カツもまたというのだ。
ページ上へ戻る