| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

フリージング 新訳

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第26話 Machination 5

 
前書き
最新話です‼︎ようやくラナvsサテラに辿り着いた……ここまで来るのにどれだけかかったか……と言っても、まだまだ序盤も序盤です。
では、どうぞ。 

 


昼間のことである。

カズトに逃げられたラナが昼食を取っていると、ある人物が近づいてきた。
その人は、ニコニコと笑っていたが、どこか裏があるような笑みだった。

そして、彼女はラナにこう言ったのである。まるで、意図して言ったことではないかのように、サラリと言った。

「それにしても、あの一年生かわいそうね。サテライザーに良いように使われて。」

その言葉を聞いて、ピクリとラナは眉をひそめる。今、この人はなんと言ったのだろうか?

「それは、どういうことでありますでしょうか?」

その女曰く、サテライザーはこの学園でも屈指の実力者だという事。
曰く、接触禁止の女王として恐れられているという事。
そして、サテライザーが、その力と美貌で、アオイ・カズトを所有物としているという事。
だから、ラナは、その日の晩にこうしてサテライザーの部屋をしんにゅ……もとい訪ねたのだ。



「貴様……どうしてここにいる……」
「そんなに怖い顔をしないでほしいであります。少し、話があるだけでありますから。ね……」

サテライザーはボルトテクスチャを装着し、ラナの後をついていく。だが、油断などはしない。この女はカズトに手を出しかねない女なのだ。

そして、ようやく目的の場所。第一訓練所へと辿り着く。
ここは、主にパンドラ同士の戦闘訓練に使われている場所だ。

一ここで何をするつもりだ…?

そう警戒していると、ラナがニヒルな笑みを浮かべてきた。

「いつまで仏頂面を貫くつもりでありますか?」
「…………要件はなんだ……」

ギロリと睨みつけながら言うが、ラナ本人は素知らぬ顔で話を切り出す。

「いえいえ、簡単な話でありますよ。カズトくんのことであります。」

その単語に、ピクリとサテライザーの眉が反応した。

「どうして、カズトくんと洗礼をしないのでありますか?」
「………お前には関係のないことだ。」

バチリと、火花が散るように見えた。

「話は終わりか。私は帰る。」

イラつきながらサテライザーが踵を返すと、ラナがその歩みを止めるためにサテライザーの手を掴んだ。

「待ってください!まだ話は……!」

その瞬間、サテライザーの拳がラナの顔面にめり込んだ。とてつもない衝撃が襲いかかるが、負けじとラナもサテライザーの顔面を殴り返す。

「グッ……!」
「……ッフゥ。よくわかったであります。それが貴方のやり方なのでありますね……」

ギロリとお互いに睨み合い、殺意をぶつけ合う。

「私に、触るな…!」
「上等でありますよ。武器を出しなさいであります‼︎」

二人は互いに気がついていない。
この戦いを、仕組んだ人間がいることを。そして、その人間が、この戦いが終わった後も考えているということを……


「「ボルトウエポン、展開‼︎」」

サテライザーがノヴァブラットをその手に握り。
ラナが四念を、両腕両足に取り付ける。
ジリジリと、お互いに距離を詰めていきタイミングを計る。
先に動いたのは、

「行くであります。」

ラナだった。
例えが陳腐だが、正に目にも留まらぬ速さで、攻撃を仕掛けてくる。
その拳を、サテライザーは何とかノヴァブラットで弾くが、その隙間にもう片方の拳がぶつけられる。
ギリっと、歯を食いしばりながらも、衝撃に耐える。
そして、その拳を空いてる左手で掴み取り、動きを固定する。

「ハァッ!」

ノヴァブラットをラナの首筋目掛けて振るった。その鋭さは、力任せのものではなく、技と速度を伴った物だった。

「チィッ!」

だが、ラナも馬鹿ではない。もう片方の拳でノヴァブラットを弾く。そこから先は、死闘だった。

「ハァァァァァァァッ‼︎‼︎」
「ダァァァァァァァッ‼︎‼︎」

ラナから放たれる拳を、サテライザーのノヴァブラットが防ぎ。
サテライザーの斬撃を、ラナの拳が弾く。それを何度繰り返しただろうか。

ガキィンッ‼︎という金属音が鳴り響き、二人の距離が一気に開く。

ーこの女…一撃一撃が重いうえに速い。
しかも、全く隙がない……

ー危なかったであります…油断なんてしたら、すぐに殺られるであります……

その、ほんの数秒にも満たない打ち合いの間に、お互いの力量を図り、一切の甘さを無くした。

ーこの女……できる!

ーこの人…手強であります!

狙うは命。
向かうは死地。
掛けるは己の、愛する物。

再び、死闘が始まる。


****************


その頃、男子寮のとある一室では、カズトが紙媒体の本を手に取り、ベットで横になっていた。

「あ、サテラに今日は休むようにって言ってなかったや。」

本を閉じ、サテライザーのいる部屋へと呑気に歩き出す。
既に、新たな騒動が起こっているとも知らずに…………
 
 

 
後書き
はい。次回からはラナvsサテラの本番です。
最近、ISにまたハマりまして、描こうかなぁ……なんて思ってます。
ではでは、また次回。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧