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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三十一話 テスト前その六

「もうすぐだな」
「ええ、そうね」
「期末テストだな」
「その時期ね」
「世界史範囲広いよな」
「中川出し過ぎよ」
 世界史の話も出ていた、その先生の話にも。
「あいつな、遅れてる遅れてるばかり言ってな」
「強引に授業進めてね」
「しかも出す問題やけに難しくて」
「何なの、あいつ」
 とにかくこの中川という先生は評判が悪い、授業中も何か自分だけ必死になっている。僕も見ていて好きになれない。
 そして皆もだ、その中川先生について話す。
「あいつの授業はな」
「三年になったらね」
「もう受けたくないな」
「転勤して欲しいわね」
 こうした言葉も普通に出ていた。
「本当にな」
「何であいつのテスト難しいのよ」
「そうそう、普通の先生のテストよりもな」
「難しいのよね」
「普通に出ない問題ばかり出して」
「何か難しい問題出すのに命賭けてる?」
 こうした先生もいる、そうして生徒を嫌がらせしているのだろうか。
「しかも普通に授業進めないで」
「こっちの言うことは聞く耳持たん」
 この言葉は本当に聞いた、正直こんな奴かと思った。
「何か一回の授業で強引に十ページ進めて」
「それでまだ遅れてるって」
「じゃあ範囲何処までだっての」
「今回六十ページもあるわよ」
 世界史の教科書でだ、本当に皆嫌な顔になっている。
「あいつリコールしてえ」
「野球部の監督は結果出なくて解任になったから」
「正直あんな奴の授業受けたくないよ」
「全くよね」
「いや、さっさとな」
「学校からいなくなって欲しいわ」
 とにかく人気のない先生だ、僕も好きじゃない。
 けれどここでだ、こんな話が誰かから出た。
「あの先生今回テスト作ってないそうだぜ」
「えっ、それ本当?」
「それマジか?」
「うん、あの人はね」
 そうだというのだ。
「今回のテスト作るのは西田先生だから」
「ああ、西田先生ならな」
「大丈夫よね」
「あの先生の作る答案はまともだから」
「中川みたいに変に難しくしないから」
 皆ほっとしていた、正直言って。それは僕もだ。
「だからね」
「今回はいけるな」
「大丈夫よね」
「ああ、じゃあな」
「安心してテスト受けられるな」
「いや、よかったよ」
「まずは安心」 
 こう言っていた、とにかくあの中川という先生は評判が悪い。授業やテストも普通にしないと嫌われるということか。
 それでだ、そうしたことを話してだった。
 僕達はこの日も授業を受けた、その一限目がよりによってその世界史でだ。皆はまたしてもうんざりとなった。
「で、今日の一限からな」
「早速だよな」
「あいつの授業ね」
「中川の」
「最近あいつ授業になってないだろ」
 このこともだ、僕は同意だった。そして他の皆も。
「もう教科書のページ進めることだけに必死で」
「後は自分達でやっとけとか普通に言うし」
「それ授業じゃないでしょ」
「よくあんなので教師やっていられるな」
「それで中等部の先生首になったんだろ」
 授業の内容があまりにも酷くて生徒の間から苦情が出てだった。
 それでだ、中等部にいられなくなって高等部に配置添加になったのだ。しかしこの高等部でもこの有様だ。 
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