八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二十九話 試合の後はその七
「あれっ、どうして」
「はい、実はこちらの厩のお掃除をしていまして」
「ジョーンさんだけで?」
「いえ、馬術部全体で」
「あっ、そうだったんだ」
「それで御飯を早く食べまして」
それからとだ、ジョーンさんは馬を僕の横に進めてからこうも話してくれた。
「すぐに厩を皆で掃除しまして」
「それが終わってなんだ」
「今こうして乗っています」
「そうだったんだね」
「そうです、ただ」
「ただ?」
「気をつけて下さい」
ジョーンさんの言葉は僕に強く言ってきたものだった。
「この子は神経質でして」
「じゃあ僕にも」
「知らない人を怖がって」
それで、というのだ。
「何をするかわからないところがあるので」
「だからなんだ」
「少し距離を置かれて下さい」
「わかったよ、それじゃあ」
「あとここは馬を進めてもいいですよね」
「この辺りはね」
馬は大きくて危ないところもあるので校内で馬を進ませていい場所には制限がある、けれどこの辺りはなのだ。
「いいよ」
「それでは」
「うん、安心してね」
「校内でも馬を進ませていい場所と悪い場所があるのですね」
「そうなんだ、それは牛とかもだよ」
農業科で扱っているそうした生きものもだ。
「限られてるんだ」
「入れていい場所が」
「そうなっているんだ」
「安全を考えて、ですか」
「そうなんだ」
こうジョーンさんに話した。
「馬に踏まれたら大変だからね」
「確かに。それは」
「農業科とか大学の農学部行くと面白いけれどね」
色々な動物がいて見られるからだ、牛や馬を見るだけでもかなり楽しいのは僕の好みだけのことだろうか。
「注意しないとね」
「怪我には気をつけて」
「怪我をしないで楽しく」
僕はここでこうも言った。
「それがうちの学園の教育だから」
「怪我をしないことですね」
「怪我をしたら元も子もないからね」
とにかくこのことはいつも強く言われる、怪我には気をつけろとだ。どうもこのことも自衛隊の影響が強いらしい。
「だからね」
「馬が進める場所も」
「限られているんだ」
「そうなのですね」
「それとね」
僕はジョーンさんにさらに話した。
「馬はね」
「はい、馬は」
「やっぱりおしっこやうんこをするじゃない」
生きものだからだ、このことは人間も同じだ。
「何処でもそうやられると大変だから」
「特に大きい方が」
「そう、馬のうんこって多いよね」
「その処理のことも考えて」
「進める場所が限られているんだ」
「そうだったのですね」
「基本馬術部の担当だけれど」
これは馬に乗っているから当然のこととされている、農業科の動物の世話も農業科の生徒の受け持ちだ。
「何処もかしこもってなると」
「処理する方も大変だから」
「牧場とはそこが違うから」
少なくともジョーンさんのいたそことはだ。
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