八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二十九話 試合の後はその三
「そうさせてもらいます」
「そうして頂ければ何よりです」
「絶対に」
畑中さんにこう言って約束した。
「謙虚である様にします」
「鼻は高いと折れますし」
「ピノキオですね」
「低いに限ります」
「天狗は駄目ですね」
「はい、そうなっては」
その鼻の高い妖怪だ。
「やはりご自身にとってです」
「よくないですね」
「折れますので」
その鼻が、というのだ。
「鼻は。私は折ったことはないですが」
「それでも折れば」
「相当痛いそうなので」
「最初から折らない方がいいですね」
「出来ることなら」
「そういうことですね」
「つまり慢心はです」
この感情自体がというのだ。
「自分自身に悪い結果をもたらすのです」
「そういうことですね」
「ですから。謙虚であって」
「自分がそうならないことですね」
「私はそう思います」
「その通りですね」
僕も畑中さんのその言葉に頷いて答えた。
「いや、やっぱり」
「最初からですね」
「鼻は低い方がいいですね」
ピノキオや天狗みたいではなく。
「それがいいですね」
「全くですね」
高慢を慎む話をしてだった、そして。
その話からだ、僕はこの日は安心して寝られた、しかし。
次の日だ、こうジョーンさんにこう言われた。
「あの、実は」
「実は?」
「今朝馬に乗ったのですが」
「馬の体調が悪いのですか?」
「いえ、馬草がです」
馬自体ではなくこちらがというのだ。
「どうもあまり」
「あまり?」
「量が少ない様でして」
それで、というのだ。
「もっと多くして欲しいのですが」
「あっ、そうですか」
「お願い出来るでしょうか」
「あれっ、馬草はかなり用意しましたけれど」
ここで厩番の人が言って来た。
「少なかったですか」
「どうもかなり食べたので」
「そうですか」
「今朝はかなり減っていました」
「わかりました、じゃあ用意しておきます」
厩番の人は僕にこう答えた。
「ご安心下さい」
「それでは」
「しかし、どうして馬草が足りなかったのか」
僕は二人のやり取りを聞いて少し腕を組んで言った。
「そのことが問題ですね」
「おそらくですが」
厩番の人がここで僕にこう言った。
「ジョーンさんがかなり乗っておられるので」
「その分ですか」
「食べる量もです」
「多いんですね」
「やはり運動すればするだけです」
人間でも馬でもというのだ。
「食べますね」
「そういえば最近」
ここでジョーンさんもこう言った。
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