八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二十七話 日本の花その十二
「それもありますの」
「ふうん、お寺も中にある神社なのね」
「はい」
「面白いね」
ニキータさんは円香さんの説明に笑って返した。
「それはまた」
「日本独自でありますわ」
「二つの宗教が一緒になってるのね」
「神仏習合もありまして」
「神様と仏様が一緒になっている」
「そうしたことも」
「ブラジルじゃないことね」
この国は、というのだ。
「うちはキリスト教だけだから、殆ど」
「そうですわね、ブラジルは」
「ええ、まあアマゾンの人達は土着の宗教もあるけれど」
「それでもですわね」
「ええ、基本キリスト教よ」
「それもカトリック」
「そうなのよ」
そう話してだ、ニキータさんはテレサさんとモンセラさん、そしてチェチーリアさんも見た。そのうえでこんなことを言った。
「そういえばうちってカトリックの人も多いわね」
「呼んだ?」
そのうちの一人のテレサさんがニキータさんに応えて来た。
「私カトリックだけれど」
「いや、八条荘ってカトリックの人もいるって」
「そのことね」
「うん、そうよね」
「まあカトリックだけれどね」
テレサさんもこう返す。
「私も」
「そうよね」
「ブラジルもそうで」
「私もなのよ」
ニキータさんも応える。
「カトリック、ただね」
「ただ、よね」
「カトリックでもね」
それでもだというのだ。
「他の宗教の場所に行ってもいいし」
「今時それで何も言われないから」
「魔女狩りの時と違ってね」
「あんなことはないし」
「もうね」
だからこの神社に行ってもいいというのだ、そうした話をしながらだった。ニキータさん達も普通に紫陽花を堪能していた。
そしてだ、僕はいい頃合と見た時にだ、皆にこう切り出した。
「皆いいかな」
「いいかなって?」
「っていうと」
「そう、美味しいものも用意してるから」
それで、とだ。皆に言った。
「そちらも楽しもう」
「花より、団子。いえ」
裕子さんは自分の言葉を訂正させつつこうも言った。
「花も団子も」
「そうした感じで」
微笑んでだ、僕は裕子さんに答えた。
「いこうと思いまして」
「だからですか」
「小野さんとお話して決めました」
僕は皆にこのことを正直に言った。
「たい焼きも食べようと」
「たい焼き、いいですね」
小夜子さんはたい焼きと聞いて目をきらきらとさせて言って来た。
「最高のお菓子の一つです」
「たい焼きってそんなに美味しいの」
「はい」
その通りだとだ、小夜子さんはイタワッチさんに問われてもはっきりと答えた。
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