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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二十七話 日本の花その五

「凄くですね」
「美味しいですね」
「あんな美味しいたい焼きは」
 それこそだ。
「滅多にありません」
「ですから」
 それで、というのだ。
「皆様にもです」
「食べて欲しい」
「そう思っています」
 それで、というのだ。
「皆様に紹介して下さい」
「わかりました」
 僕もはっきりと答えた。
「そうさせてもらいます」
「その様に」
「考えてみれば」
 僕はここでこうも思った。
「お花だけじゃないですね」
「そうです、人生は」
「花より団子っていいますけれど」
「花も団子もです」 
「その両方が、ですね」
「必要ですから」
 それで、というのだ。
「是非共あのたい焼きも」
「あの神社の団子ですね」
「その通りです」
 こう僕に笑顔で話してくれた。
「まずは紫陽花ですが」
「たい焼きもですね」
「最近たい焼きも変わってきていまして」
「昔は粒餡だけでしたとね」 
 その中にあるものいがだとだ、僕は言った。本当に昔はたい焼きといえば粒餡だけだった。僕が子供の頃位までは。
 けれどだ、今はそれが。
「中に入っているのも」
「カスタードもありますね」
「はい、白いたい焼きもありますし」
「色々になっていますね」
「チョコレートのたい焼きもありますし」
 これがまた美味しい。
「本当にバラエティ豊かになりましたね」
「しかも美味しいです」 
 そのカスタードのたい焼きもチョコレートのたい焼きもだ。その両方がとても美味しい。勿論白いたい焼きもだ。
「どれも」
「そうですね」
「あのお店もそうです」
「あそこ確かに何種類もありますね」
「そのたい焼きが」
「だからですね」
「はい」
 その通りだとだ、畑中さんは僕に答えてくれた。
「あのお店をさらにお勧めするのです」
「美味しいたい焼きが何種類もあるから」
「実はです」
「実は?」
「粒餡は案外海外の方の間では今一つです」 
 僕には思いも寄らないこともだ、小野さんは僕に話してくれた。
「苦手な方も多いのです」
「えっ、そうなんですか」
「癖が強いとのことで」
「ううん、それは意外ですね」 
 外国からの人も多い八条学園にずっといるけれどはじめて知ったことだ、小野さんに言われるまで気付かなかった。
「よく和菓子はあっさりしてるっていいますけれど」
「はい、確かに」
「それで糖分も少ないと」
「そう言われていますね」
「けれどなんですね」
 僕は信じられないといった顔のまままた言った。
「粒餡は」
「外国では苦手な方もおられます」
「食べやすいと思いますけれど」
「それは日本人の好みでして」
「他の国の方にはですか」
「苦手な方もおられて」
「そうです、苦手な方もです」
 いて、というのだ。 
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