八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二十七話 日本の花その六
「ですからたい焼きも」
「粒餡だけじゃなくて」
「カスタードやチョコレートもですか」
「あるといいのです」
そうだとだ、小野さんは僕に話すのだった。
「それも非常に」
「何か思わないことですけれど」
それでもだった、小野さんに教えてもらってだ。僕は頷いて言った。
「また凄く勉強になりました」
「それは何よりです」
「色々あるんですね」
僕はここではしみじみとした口調だった、自分でもそのことがわかった。
「好みは」
「和食はそもそもあっさりしていて」
「好みがですか」
「世界的に見て別れます」
そうした料理だというのだ。
「そうなのです」
「それは知ってましたけれど」
「粒餡はですね」
「そこまでは」
思わなかったとだ、僕はまた言った。
「けれどそうなんですね」
「これもまた文化の違いですね」
「食文化のですね」
「そうなりますね」
「ですがそのたい焼きもです」
「粒餡だけじゃなくなって」
「他の甘味も加わりました」
そのカスタードやチョコレートがだ。
「ですからそれを」
「皆にですね」
「楽しんでもらえれば」
これが小野さんの願いで僕も頷いた、そして。
その話をしてだった、僕は今度の日曜日皆にたい焼きをご馳走することにした。けれどそのことを話してだった。
僕はここでだ、皆の数のことを思い出した、それで。
思ったその日のうちにだ、事前に神社に行った、部活も終わって自由になった時に八条荘にそのまま帰らずにだ。
馴染みの神社に行ってだ、そうして。
たい焼き屋さんのところに行ってだ、こう言った。
「今度の日曜の夕方ですけれど」
「何だい?」
「ちょっと、二十五人位来るんで」
「ああ、予約をだね」
「したいんですけれどいいですか?」
「大体何個位かな」
「一人三個位ですね」
こう答えた。
「その位の量をです」
「わかったよ、予約ということで」
「お願いします、支払いはです」
僕はたい焼き屋さんにこのことも話した。
「八条荘にお願いします」
「八条荘かい」
「はい、こちらです」
懐からペンとメモ用紙を出して電話番号を書いてからお渡ししてだった、そのうえでたい焼き屋さんにまた言った。
「こちらに連絡して下さい」
「ということはあんた」
「実は八条荘の管理人なんです」
僕はこのことも話した。
「それでなんです」
「あんたが支配をかい」
「させてもらいます」
「わかったよ、じゃあね」
「連絡して下さい」
こうたい焼き屋さんにお話した。
「今は持ち合わせがないですけれど」
「二十数人で三個ずつだけ」
「三十人ですね」
僕はこう訂正した。
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