八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二十七話 日本の花その二
「私も及ばずながら」
「助けてくれるんですか」
「何かあれば。何でもお話して下さい」
とても頼りになる言葉だった、これ以上はないまでに。
「微力ながら」
「じゃあ」
「はい、お願いします」
僕は確かな言葉に頷いてだ、そしてだった。
畑中さんにだ、僕はあらためて言った。
「これからも」
「それでは」
「管理人として、ですね」
「そして人間として」
「人間としてもですか」
「お励み下さい」
強くて優しい言葉だった、とても。
そうした話をしてだ、僕はふと思ってだ。
畑中さんにだ、こんなことを言った。
「あの、ちょっと思いついたんですが」
「何でしょうか」
「はい、バーベキューもしましたけれど」
「それでもですね」
「まだ何かしたいと思いまして」
「皆さんの親睦を深める為に」
「さらに」
まさにその為にだ。
「それでなんですけれど」
「では何を」
「お花見を考えているんですが」
「お花見ですか」
「はい、今は春じゃないですけれど」
春のお花見といえば桜だ、けれど桜の季節じゃない。それでもだ。僕は畑中さんに考える顔でこう言った。
「紫陽花の季節ですから」
「紫陽花を、ですか」
「皆でと思うんですが」
「それでしたら」
紫陽花と聞いてだ、畑中さんは僕に言ってくれた。
「いい場所を知っています」
「紫陽花の奇麗な場所ですか」
「はい、何処かご存知ですか」
「八条神社はどうでしょうか」
「あの神社ですか」
この町でも一番大きな神社だ、それこそ関西だと住吉大社や西宮神宮と並ぶ位の神社だ。伊勢神宮には流石に及ばないにしても。
「あそこに行けば」
「紫陽花が奇麗です」
「そういえばあの神社は」
僕はあの神社のことも思い出した。
「かなり色々なお花がありますね」
「四季のお花が咲き誇っています」
「それで紫陽花もですか」
「奇麗ですから」
「だからですか」
「如何でしょう」
「しかも紫陽花だけではなく」
このお花に加えて、というのだ。
「菖蒲や菫もです」
「そちらのお花もですか」
「そして百合も奇麗なので」
この季節は、というのだ。
「いいと思います」
「それに神社ですから」
ここで僕は神社に行くことからも考えて畑中さんに言った。
「日本の文化を知ってもらえますね」
「他の国から来ている方々にですね」
「八条荘は入居者の半分が外国からの方ですから」
「だからですね」
「はい、神社もですね」
僕はまた言った。
「日本文化を知ってもらう為にいい場所ですね」
「私もそう思います」
「でしたら」
僕は畑中さんの言葉を受けてまた言った。
「あそこです」
「八条神社ですね」
「皆にあそこに行ってもらって」
「そのうえで」
「紫陽花とかを観てもらいます」
そして楽しんでもらうことにした。
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