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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二十七話 日本の花その一

                 第二十七話  日本の花
 入居者の人が皆揃ってバーベキューでの親睦会も行った、その親睦会の楽しさが忘れられないうちにだった。
 八条荘の中で畑中さんがだ、僕に言って来た。
「これからです」
「はい、バーベキューも食べて」
「それで、ですね」
「本格的にです」
「僕も管理人としてですね」
「働いて頂くことになります」 
 本当にこれからだというのだ。
「これまでは言うならば」
「序章ですか」
「そうしたものです」
「二十四人の人が揃ってから」
「はじまるのです」
「管理人になった時大丈夫かって思いました」
 何もわからない人間がだ、そんな状況で。
「ですが」
「はい、それでもです」
「まだです」 
 本当に、というのだ。
「これからなので」
「何かこれまでで相当でしたけれど」
「目が回る様な状況でしたね」
「そうでした」
 その通りだとだ、僕は畑中さんに答えた。
「何が何だかわからない位に」
「そうだと思います、いきなり管理人になられて」
「それからどんどん人が来て」
「そして今に至るまで」
「本当に色々なことがあって」
 それでだった。
「もう何が何だかわかりませんでした」
「立ち止まることは、でしたね」
「考える暇もありませんでした」
 まさに濁流の中で翻弄されている様なものだった、次から次にと個性的な入居してくる人が出て来てだ。
 そしてだ、僕は畑中さんもこうも言った。
「嵐みたいで」
「しかしです」
「これからはですね」
「その嵐がです」
「これまで以上にですか」
「激しいものになります」
 こう僕に言うのだった。
「そして激しいだけでなく」
「それだけじゃないんですか」
「楽しくもある筈です」
 激しさだけではないとだ、僕に教えてくれた。
「必ず」
「楽しいんですか」
「激しい楽しさです」
 それだというのだ。
「義和様のこれからのお暮らしは」
「苦しくはないんですね」
「人は生きていれば必ず苦しさもあります」
「けれどなんですね」
「はい、私は占いはしませんが」
「前に言われました」
 詩織さんと一緒に歩いた時に占い師の人に占ってもらったことをだ、僕は畑中さんに話していた。そしてそのことをだ、畑中さんはここで言ったのだ。
「そのことですね」
「はい、そのお話を聞きますと」
「僕のこれからは大変でもですか」
「嵐であってもです」
「楽しいものなんですね」
「楽しく激しい嵐です」
 それが僕の人生だというのだ。
「そうなります」
「そうですか」
「はい、ですから」
「それで、なんですね」
「励まれて下さい」 
 僕にしっかりとした声で言ってくれた。 
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