八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二十六話 バーベキューその六
「幸せになれるよ」
「そうよね、私も好きだけれど」
「いや、その中でも日本酒かワインだね」
「どちらかなのね」
「けれど。健康のことを考えたら」
その日本酒とワインを比べるとだ。
「ワインの方がいいかな」
「明治天皇もお酒がお好きだったけれど」
「あの方甘党でもあられたんだよね」
聞いた話によると餡パンや蒸しカステラに羊羹、アイスクリームがお好きだったらしい。しかしその量はカステラや羊羹が一切れというから皇室はその頃から質素だったことがわかる。甘いものもふんだんに口にするうちの親父とは大違いだ。
「それで日本酒もお好きで」
「糖尿病になられて」
「それでワインになったんだよね」
「飲むお酒はね」
フランス産の白ワインになったという、甘党であられたけれどとかくお酒がお好きな方であったらしい。特に清酒が。
「そうなったのよ」
「お酒を飲まれて相撲ととられて」
「侍従長の人に投げ飛ばされたとか」
「そうしたお話もあったね」
「ええ、まあ投げられたお話はともかく」
「日本酒を飲まれて糖尿病になられたから」
「気をつけないとね」
日本酒のこともだ。
「本当に」
「そうよね」
「日本酒よりワインにしようかな」
僕はここで方向を転換を考えた、飲むお酒のそれを。
「これからは」
「その方がいいかも知れないわね」
「ワインとか梅酒は健康にいいっていうし」
あくまで飲み過ぎなければ、という前提でだ。
「それじゃあね」
「ワインね」
「そっちを主に飲もうかな」
これからは、とだ。僕は真剣に考えた。もっと考えてみれば十七で考えることじゃないけれどそれでもだ。
それで帰ってから畑中さんにこれからはワインにしようかと言ったらだ、ここで畑中さんは僕に思わぬことを言った。
「ではどのワインにされますか」
「どの、ですか」
「はい、どのワインの」
「そういえばワインは」
言われて気付いた、ワインのことに。
「何種類もありますね」
「様々な国でも造られていますし」
「そうでしたね」
「フランスだけではありません」
ワインというとこの国だけれどだ。
「ドイツやイタリア、スペインでも造られていますし」
「あと日本でもですね」
「アメリカや中国でもです」
「本当に世界中で造られてますね」
「南米でもです」
こちらでもだとだ、畑中さんは僕に教えてくれた。
「最近はチリ産のワインがよく出ています」
「チリですか」
「はい、あの国土が細長い」
そしてイースター島のあるだ。
「あの国でもです」
「そうでしたね」
ジューンさんの祖国アメリカや水蓮さんの祖国中国でもだ。
「何処でも造られていますから」
「当然我が国でもです」
「甲州ワインですね」
「こちらも美味しいです」
「そこで何を飲むかというと」
「かなり難しい問題となります」
「ううん、ソムリエの人のお話を聞くのが一番ですか」
ここで僕はこう言った。
「やっぱり」
「そうですね、この八条荘のソムリエの」
「西本さんですか」
「あの方に聞かれてはどうでしょうか」
こう僕にアドバイスしてくれた。
「ここは」
「わかりました、それでは」
「私の個人的な好みでは」
ここで畑中さんが言うワインはというと。
「イタリア産ですね」
「イタリアですか」
「止様もお好きですが」
「今イタリアにいますしね」
僕は少し苦笑いになって畑中さんにこう返した。
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