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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二十五話 最後の人その八

「各自の鍵も用意して」
「徹底してるわね」
「そうしないとね」
 本当に間違いが起こるからだ。
「世の中色々あるし」
「幾らいい人でも間違いがあったり」
「するからね」
「そこまで考えてるのね」
「そうなったっていうのかな」
 僕は考えながら詩織さんに答えた。
「僕も」
「大家さんになってから」
「そうなんだ、ただ」
「ただ?」
「まだまだね、僕も」
 そのお金や貴重品のこと以外にだった。
「至らないけれどね」
「大家さんとして」
「うん、まだなり立てだし」
「そうかしら、結構頑張ってるわよ」
「そうかな」
「ええ、そこまで考えてるってことがね」
 お金や貴重品のことがというのだ。
「頑張ってるわ」
「だといいけれどね」
「ええ、何もしない人とかいるじゃない」
「うん、あちこちにね」
 例えばサイトの管理人なのに利用者の要望を一切聞かないで利用者を攻撃する荒らしを放置する管理人だ。そんな管理人は正直最悪だと思う。
「いるね」
「そういう人もいるから」
「僕はなんだ」
「本当に頑張ってるわ」
「そう言ってくれるんだね」
「入居してる人が困ってるのに」
 詩織さんは眉を曇らせてこうも言った。
「何もしてくれない大家さんなんてね」
「最悪だよね」 
 そのサイト管理人のことからだ、僕は答えた。
「そんな大家さんは」
「けれど義和君は皆の為に考えて動いてくれてるから」
 いいとだ、詩織さんは言ってくれた。
「本当に有り難いわ」
「じゃあもっとね」
「これからはっていうのね」
「頑張るから」
 今以上にとだ、僕は詩織さんに答えた。
「そうするよ」
「そっちも頑張ってね」
「勉強のことも部活のこともあるけれど」
 そして他の学校の行事もだ、高校生もやることは一杯ある。
「大家お仕事もね」
「僕頑張るから」
 僕はまた詩織さんに答えた。
「そちらもね」
「そうしてね」
 詩織さんは僕に微笑んで言ってくれた。そしてだった。
 僕にだ、今度はこんなことを言ったのだった。
「私若し八条荘がなかったら」
「なかったら?」
「その時は八条学園に入っても」 
 そうしてもというのだ。
「寮に入ってたわ」
「高等部のだね」
「あそこにね」
「あの寮はかなり設備が整ってて」
「いい場所みたいね」
「うん、そうだよ」
「そう聞いたから八条荘がなかったら」
 この学校に来るならとだ、僕に話してくれた。
「あそこに入ってたわ」
「それは皆もだよね」
「ええ、美沙ちゃん達もね」
「そうだよね」
「けれど八条荘があるから」
 それでとだ、僕に笑顔で言って来た。
「あそこにいてね」
「皆が集まって」
「あそこにいるのよ」
 そうなっているとだ、詩織さんは僕に笑顔のまま話した。 
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