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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二十五話 最後の人その四

「あの人は」
「そう思うわ」
「そうだよね、やっぱり」
「あの人はね」
 それこそというのだ。
「悪い人ではないの、決してね」
「そうだよね」
「そうした人だから」
「嫌われてないわよね」
「アパートでもね」
 確かに嫌われていない、厳しいけれどあの人はとても公平だ。間違っても差別や贔屓をする様な人ではない。
 それでだ、僕はまた言った。
「嫌いな人はいないよ」
「筋が通ってるから」
「厳しくても筋が通っているとね」
「誰も嫌わないわよね」
「ましてあの人まず自分がするから」
 他の人にあれこれしろと言う前にだ。
「何でもね」
「そうそう、ご自身が真っ先に動かれて」
「怒る時も一言」
「暴力も振るわないし」
 暴力もだ、絶対に振るわない。あの人は暴力は人間がすることとして最低の行動の一つだと認識してそうしたことはしない。
 それでだ、僕はしみじみとして言った。
「暴力はね。振るわれるとね」
「そういえば大家の親父さんって」
「そうだよな」
「別にな」
「暴力も振るわなくて」
「そうしたこと嫌いだったよな」
「うちの親父暴力はね」
 それはだとだ、僕はまた言った。
「大嫌いなんだよ」
「それだけでも人間本当に違うよ」
「暴力振るう、粗暴な奴ってそれだけでな」
「人間のランク相当落ちるからな」
「もうそれこそな」
「ゴミ以下だよ」
 そうした人間だと話す、そしてだった。
 そうした話をしながらだ、僕は皆と色々話した。そうしたことを話しながらだった、アパートのことや他のことを考えた。
 そうしたことを話しながらだった、僕はその最後の人のことも考えていた。果たしてどんな人がお家に来るのかと。
 するとだ、お昼休みにだった。詩織さんが僕のところに来てこう言って来た。
「ちょっといい?」
「どうしたの?」
「あの、今ね」
 こう前置きしてからだ、僕に話してくれた。
「義和君に会いたいって人が来たけれど」
「その人ってまさか」
「そうみたいよ」
 僕に真剣な顔で応えてくれたのが何よりの証拠だった。
「どうやらね」
「じゃあ会いたいけれど」
「ええ、案内していい?」
「うん、それで何処かな」
「こっちよ」
 こう言ってだ、早速だった。
 僕は詩織さんに案内してもらってある場所に来た、そこは食堂の前だった。食べる前だったので丁渡いいと思った。
 そこにだ、何処か機械的は顔立ち、整っているけれど表情がない感じの人がいた。黒髪を長く伸ばして姫カットにしている、その頭に大きな赤いリボンがある。
 ピンクのアスコットタイが首にある黒いブレザーとミニスカートの制服だ、ハイソックスを履いていてその色も黒だ。その黒が白い肌によく似合っている。
 その顔立ちは落ち着いていて切れ長の目で睫毛が長い。よく見れば奥二重とわかる。唇は小さく紅だ。背は一五六位で少女的なスタイルだ。
 その人がいてだ、僕にぺこりと頭を下げて名乗って来た。
「はじめまして」
「はじめまして」
 僕も頭を下げて挨拶を返した。 
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