とある3人のデート・ア・ライブ
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第六章 颶風の巫女
〜夏休み編〜第3話 ヒーロー
前書き
どうも、ラーフィです。
いつからか恒例になったこの前書きスタイルもそろそろ終えようかな、と思っております。理由の一つにネタバレになりそうなことを言いかけたり、と危険きわまりない行為になることに気がついたからです。
なので不定期にこんなカンジの前書きを書きたいと思っております。あ、後書きの一言はこれからも続けるよ?アレ書くの好きなんでw
え〜、色々スタイルが変わっていきますが、その辺は目を瞑ってください。
それでは本編をお楽しみください!
ではでは〜
一言で表すならば、劣勢だった。
数が多い上に相手はマシンガンで乱射してくる。普通の人間なら太刀打ちできない。
ステイルも
インデックスも
黄泉川も
御坂も
白井も
初春も
勝てない。そう思っていた。
そうーー彼らが現れるまでは。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
武装していない人が、防弾チョッキを着ていない人が、何の力も持たない人が、
マシンガンで乱射されたらどうなるだろうか。
答えは簡単。
死、だ。
黄泉川愛穂は、今その状況に侵されている。
応援なんて間に合うはずがなかった。
銃口を向けられても、どうすることもできなかった。
それが、普通なのだ。
ではここで問題。
その状況の中で、なぜ黄泉川愛穂は平然と立っているのでしょうか?
黄泉川「お前……」
マシンガンで乱射された″はず″の黄泉川がそうつぶやくように言った。
黄泉川「何で″ここ″にいるじゃんよ」
白髪の髪に細く痩せた身体。肌も色白く、そして何より首から伸びているコードが特徴の″彼″は平然としていた。
そう、
学園都市Level5の第一位、一方通行が。
黄泉川「……助けてくれたのは感謝してるじゃんけど、ちょっと手荒すぎないか?」
一方通行は、こちらに振り向くことなく、ポツリと言った。
一方「……そォでもしねェと、テメェ死んでただろ」
反射。
彼の能力の絶対的な矛でもあり盾でもある。
彼に触れた瞬間、それは盾になり、そして矛にもなる。
目の前の武装した輩は、全員倒れ伏していた。
まだ生きているところから防弾チョッキは着ているのだろう。それでも肋骨は数本折っただろうけど。
一方「(こいつら……″外″のやつらだな)」
ASTや、DEM社と同じ系統の輩。
装備から見ても、そうとしか考えられないだろう。
一方「ここで殺してやってもいいが……もうちょい楽しませてもらうか……」
突如、
竜巻らしきものが発生した。
黄泉川「……ッ!?」
輩を中心に直径三メートルほどの風の円柱を作り出した。
輩達は、風にあおられて遥か上空へと飛ばされていく。
一方通行がそれを追いかけるように勢いよく上空へと飛び出した。
黄泉川「ちょっ、待った……ッ!」
その声は、恐らく届いていなかっただろう。
既に一方通行の姿は見えなくなっていたから。
黄泉川「…………」
疑問。
普通の人間なら気づかないことに、黄泉川は気付いた。
それは長い月日、彼と一緒に過ごしていたから気付けたこと。
黄泉川「あいつ……いつの間にーー」
黄泉川「ーーいつの間に杖無しで歩けるようになったじゃんよ?」
ヒーローの如く駆けつけた一方通行の手には、例の杖はなかったという。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
イノケンティウス。
意味は『必ず殺す』
しかし、
なかなか相手を倒すことができない。
それもそのはず。
一人ならまだしも、自分の後ろには守るべき存在、禁書目録がいるのだ。
もし流れ弾が当たったらそれこそ護衛の意味がないのだ。
何とか状況を打破したい。
でも……
と。
突如、
敵部隊が真横へと吹っ飛んでいった。
ステイル「何……!?」
イン「な、何が起こったの……?」
風、だったのだろうか。
何も見えなかったところからすると恐らく正解なのだろう。
しかし、一体誰がーー
いや、″誰か″がいた。
ステイル「何で貴様がここにいる……?」
ステイルは顔を怖ばせながらその″彼″を睨みつけた。
イン「当麻……?」
インデックスは驚きの色を隠せず、無意識につぶやいた。
そう、そこには。
両手首に白色の何かが渦巻いた″それ″以外は何も変わらない上条当麻がそこにいた。
上条「不幸だよな……」
こちらを気にすることもなく、上条当麻は敵部隊に言った。
上条「俺も……あんたらも。本当に不幸だよな」
突如
上条当麻の左手に弦を、右手に弓を、出現させた。
それは真っ白で、どこか黒い何かが混ざっていて……そしてそれは、まるで本物ではないような雰囲気を醸し出す。
例えるなら映像。
そう、あの弓と弦は、
まるで空気中にある風を操り作ったような……
その白い弦に白い弓を置き、それを最大限まで引く。
そして。
パシュ、と。
弓が一直線に敵部隊へと向かっていく。
その刹那。
爆発があった。
敵部隊は死んではいないだろうが、少なくても重軽傷を負ったはずだ。
これで動くこともてきまい。
その弦と弓は空気中に溶け込むようにスッと消えた。
上条「……」
イン「……」
ステイル「……」
助けてもらったというのにそんな気が全く起きないのはなぜだろうか。
上条当麻はこちらに視線を向けることなく、背を向けた。
イン「当麻!!」
インデックスは、待ち焦がれていた彼の方へ思わず走り出していた。
上条当麻の目の前まで行き、そして一言。
イン「全く、今までどこに行ってたんだよ!これ以上心配かけられるのは迷惑かも!」
インデックスは期待していた。
いつもの上条当麻の呑気な声。そこまで本気で言っていないのに土下座したりするあの上条当麻を。
しかし。
上条「ごめん……」
イン「…………………え?」
それは、いつもの上条当麻からは考えられないぐらい声が低く、力がなかった。
そして。
上条「本当に……″ごめん″」
彼は、インデックスの肩をポンと叩き、彼女と視線を交わすことなくインデックスを横切った。
イン「当麻!!」
インデックスがいきよいよく振り返るも、そこにはすでに上条当麻の姿はなかった。
イン「当麻……」
一体何があったのだろうか。
いつもの上条当麻ではない。
何かやらかしてしまったような、そんな目をしていた。
ステイル「……」
彼は、また別の捉え方をしていた。
幻想殺しだけではあんなことはできない。
弓や弦を出すことも。ましては風を作り出すことも。
もう彼は″昔の彼″ではない。
ステイル「あいつは……」
何者だろうか、と言えなかった。
目の前に……彼女がいたから。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
勝負は一瞬だった。
御坂美琴も。白井黒子も。
腹に、足に、銃弾が貫通していた。
御坂「……ッ!」
いくら能力者とはいえどただの人間。銃弾をマトモに食らえば痛みに抗えず、演算処理能力も低下する。
それでも彼女は、ゆっくりと立ち上がり奴らを倒そうとする。
「ほう……まだ立ち上がりますか」
御坂「あたり、前でしょ……」
「なぜですか。あのまま逃げても恥ずかしくはないでしょう?」
御坂「……あんた、さっき佐天さんの名前を……口に出したでしょ」
「……それが何か?」
御坂「どこにいるの……!?」
「……あえて理由は聞きません。しかし、あなた方から見れば敵の私たちが知っていると思うのですか?」
当たり前のことだ。
どう考えても佐天涙子をおびき出すような口調だった。
知っているはずなどない。
いや、彼らからすれば別に知らなくても来てくれさえすればいいのだ。
この状態を、見せるだけで。
と。
?「私ならここにいますけど?」
御坂美琴の背後から突如声が聞こえた。
「……ほう」
御坂「……え?」
白井「ど、どうして……?」
初春『さ、佐天さん……!?』
不敵な笑みを浮かべた、佐天涙子がそこに立っていた。
佐天「よくも私の友達を傷つけてくれましたね……」
「……殺れ」
一言、リーダーと思われる人が命令した。敵部隊がマシンガンを構えると同時に、佐天は右手を前に突き出した。
そして。
凄まじい数の銃弾が乱射されると同時に佐天と敵部隊の間にそれを超える風圧があった。
銃弾は威力を無くして重力によってその場にカラカラと落ち、その敵部隊は一瞬にして数十メートルも後ろに吹き飛ばされた。
「……ッ!?」
何があったのか分からなかった。
ただ分かることは一つだけ。
勝てない。
そして。
追い討ちをかけるように右横から小さい竜巻のようなモノが身体を殴った。
そのまま敵部隊は壁に激突し、気絶した。
佐天「さてと……」
クルッと可愛らしくターンし、御坂と白井の方へと戻ってくる。
御坂「(佐天、さん……?)」
理由は分からないが、なぜか危機感を覚えた。
彼女は、もう既に″昔の彼女″ではないと。
佐天が御坂にポンと手を置く。
その瞬間。
ゆっくりと、傷の痛みが癒えていくのが分かった。
御坂「(……え?)」
そして一分も経たない内に御坂の痛々しい傷は綺麗さっぱりなくなり、後遺症らしきものも全くなかった。
佐天が白井にも同じことをすると、そのまま二人に視線を合わさず、去ろうとした。
御坂「待って!」
御坂が何かを言おうとした時、佐天がそれを遮るように口を開いた。
佐天「ごめんなさい……御坂さん、白井さん」
白井「どういう、ことですの?」
御坂も、白井も。
聞きたいのだ。この数ヶ月にどこに行き、何があったのか。
佐天「……初春に伝えておいてください。私はしばらく戻らないと……ね」
最後の最後までこちらに背を向けたままだった。
その刹那、
佐天の背中から二本の小さい竜巻のようなモノが出現したかと思えば、そのまま上空へと飛び立った。
何も分からなかった。
御坂も。白井も。その場に立ち尽くすことしかできなかった。
初春「御坂さん!白井さん!佐天さん!!!」
意識が引き戻されたのは現場に駆けつけた初春の叫び声だった。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
一方「テメェらもか」
上条「そうらしいな」
佐天「相当私たちを憎んでますね」
既に学園都市の外へと出た三人は、ここまで乗せてもらったバス停へと歩いていた。
上条「そういやあの敵部隊、放置してきたけど大丈夫か?」
佐天「それならラタトスク機関が回収してくれるとか何とか言ってましたよ」
上条「なら大丈夫だな」
彼らは今日の出来事を自分の身をもって体験して分かったことがある。
全ての事件が解決するまで、絶対学園都市には戻らない、と。
大切な人をーー傷つけないために。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
「だ、第一部隊、第二部隊、第三部隊全てやられました!」
「し、死者5名……7人が重軽傷を負っています!」
「じ、ジェームス大佐!どうしますか……?」
秘密基地でコンソールをカタカタと動かしていた部下が現状報告に汗を流せずにはいられなかった。
奇襲をかけたにも関わらずさらには失敗してしまったのだ。
ジェームス大佐はかなり怒られているだろう、と。その場にいる部下全員が確信した。
だが、
ジェームス「……これでいい」
『……え?』
部下全員の声が重なった。それぐらいジェームスから発せられた言葉は意外なるものだった。
ジェームス「奴らはこれで帰ってこない……仲間想いのあいつらならな」
『……!?』
ジェームス「あぁ、お前らには言ってなかったな。今回の目的は″あの3人を学園都市に戻さないようにしろ″だ。そう『上』から命令されたんでね」
「そ、そうなんですか……?」
ジェームス「あぁ。『上』には俺が報告しておく。お前らは今回のことをデータとしてまとめたら解散していいぞ」
そう言って、
ジェームスはその場所からゆっくりと出て行った。
後書き
夏休み編終了!これで学園都市を舞台とした小説を書くことが無くなりましたね。
次から美九編に入りますのでお楽しみに!
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