天空遊園地
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コーヒーカップとティータイム
コーヒーカップに行くと、そこにはたくさんの子供たちが、楽しく遊んでいた
ただ、それは見かけだけで、目は死んだようになっていた。ここにいるのは、大半が、心を奪われた子供たち・・・・
だが、見たところ、空音はいないようだ。次へ進もう
「そこの少年、ちょっと来なよ」
すると、近くで椅子に座ってお茶を楽しんでいる、紳士のような格好をした少年・・・・いや、青年に声をかけられた
軽く帽子を取って、会釈をした彼に「まぁ、ここに座りなよ」と言われた
いつの間にか、お茶会に呼ばれてしまった。テーブルの上に並べられた、クッキーと、三つのカップ、三つの椅子
一人だけだというのに、まるで誰かを待っているような、テーブルだった
「あんたは何者なんだ」
俺は少し喧嘩腰で聞いた。すると、紳士のような青年は「まぁまぁ、落ち着きなよ」と冷静な態度をとった
そして、お茶をすすって、静かにコップを置いた
「やぁ、僕の名前は日下部春人春人と呼んでくれ。君の名前は?」
「俺は青葉高晴妹の空音を探している」
春人はまたお茶をすすると「なるほどね」とつぶやいた
「僕の自己紹介をもっとすると、僕は、12歳の頃、この遊園地に心を奪われた。だから僕は、もう死人だ。普通、心を奪われたものは、成長することなく、ただずっと同じ遊びを繰り返す、心もなく。だが、僕の場合は少し特別でね、このとおり、6年間、成長をすることができ、18歳になった。これは、どういう意味だと思う?」
「わけがわからない、そんな仕組みがあるのか?」
「まぁ、僕も驚いたんだけどね。僕は選ばれた子供なんだよ。ここの管理を任された子供なんだ」
なるほど、そう言われると説明もつく。どうして意識を持っているのか、どうしてこうやってお茶を楽しんでいるのか
それは、心を奪われたものの、管理人の一人に選ばれたからなのだと
「君も、その一人になれると思うよ。年が年だしね」
「ふざけるな!俺が何のためにここに来たのかもう一回言ってやる。妹を助けに来たんだ!そのためにならこの遊園地をぶっ壊す覚悟がある!」
すると、それでも冷静に、春人はお茶をすすって「なるほど」とつぶやいた
「つまり僕ら、管理人たちと対立すると?しかし、君も随分何もできないやつだな。もっと、交渉しようとは思わないのか?」
「出来るならとっくにやっている。できないから、こうやって喧嘩を売りに来た」
俺は心が痛くなった。確かに、俺は馬鹿で、本当に何も出来ない奴だ。交渉力もないとは・・・・
「なるほど、君がどうして、ここに呼ばれたのか、どうして心奪われないのか、理由がひとつじゃないことがわかった」
どういう意味だ?なんのことだかさっぱりだ・・・・
「君の行く末を見てみたい。だから、妹を助けられるんじゃないかと思われる、小さなヒントを教えてあげよう。残り、管理人は三人。その人たちに会って、妹がどこにいるか聞いて見たらいい。特別に地図も渡してあげよう」
そういって春人は、ポケットから小さく折りたたんだ地図をだし、俺に手渡した
「それでは、健闘を祈る」
どうしてここまで、春人は俺に優しいのか。どうしてここまでしてくれたのか。俺にはよくわからない
ただ、与えられたチャンスは、無駄にしてはいけない。進めるまで進んでやる
馬鹿でも、何もできなくても、やれる限り、最大限を尽くして・・・・
「青葉高晴・・・・本当の高晴なんだな・・・・どうか、俺達を救ってくれ、どうか、あの人を、止めてくれ・・・・」
春人はつぶやくと、また一人お茶をすすって、一人でお茶会をしていた
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