天空遊園地
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過去と今
「ゆめのくにでは、なんでもできる。ゆめのくにでは、なんでもかなう。さぁ、ねがえ、あつまれ、こどもたち」
俺には不気味とも取れるアナウンスが聞こえる。入ってみて、俺は気づいた
ここはたくさんの子供たちで溢れかえっていた。数え切れない程の、俺より年下と思われる、子供、子供・・・・
この中から、空音一人を見つけ出すなんて不可能だ。まず、空音は今日、どんな服を着ていたかすらわからない
手がかりになるものがひとつもない。空音は遊園地なんて言ったことがないから、どれがお気に入りというのもわからない
全てあたっていくのも、時間が足りない。それまでに、遊園地に心奪われてしまうかもしれない
「えーん、お父さん、お母さんに会いたいよぉ・・・・」
ふと、泣いている男の子が目にとまった。
ここでも、誰もがここにとどまりたいわけじゃない。心を奪えない子供がいる
それは帰りたいと願う子供。しかし、帰りたい子供も、帰ることができない。ある意味ここは、地獄なのだ
俺にはまた、どうしてあげることもできない
この中ではこんなにも年長者だというのに、俺にできることは何もない。
この子を返して上げる方法があれば・・・・とっくに・・・・
でも、ほっとけなくて、俺は声をかけた。手を握り、目線が同じ高さになるようにしゃがみ、言った
「大丈夫、俺が必ず、お父さんとお母さんに会わせてあげるから。ずっとお父さんとお母さんの事を思えば、会えるから」
なんて根拠のない事を言ってしまったんだろう。俺が助けれるとも限らない
でも、空音を助けることが出来るなら、ほかの子供たちも助けることが出来る。そんな気がした
俺は、空音への綿菓子を少しだけちぎって、食べさせた。すると、男の子はとてもいい笑顔になった
「ありがとう、お兄ちゃん!」
そういって、男の子は走り出して、どこかへ行っていしまった
これで、良かったんだろう。それにしても、俺も似たような境遇にあったものだ
昔、知らない遊園地で迷子になって、泣いていたとき、女の人が、俺にキャラメルをくれた。
そして、さっきの俺と同じように、手を握り、目線が同じ高さになるようにしゃがみ、言った
「大丈夫、きっとお父さんとお母さんに会えるから。私も昔、大きなお兄さんに助けられたの、知らない遊園地で。その時お兄さんは言ったの「信じれば叶う」って。だから、お父さんとお母さんに会えるって信じれば、会えるんだよ」
「ありがとう、お姉さん」
恩返しは、確かにその人にするものだけど、ほかの人にすることも恩返しだ。その恩返しが、少しでも出来たかな・・・・
とりあえず、早く空音を見つけないと・・・・その前に、この遊園地がどれだけの広さで、どこに何があるかを知る必要がある
地図は・・・・見たところ置いていない。なら、自分の目で、確かめなくては
俺は周りを見渡した。すると、一番近いアトラクションを見つけた
「じゃあ、まずは・・・・コーヒーカップで、空音を探そう」
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