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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二十四話 ウチナンチューその二

「非常に」
「僕もそう思います、食べものも美味しくて」
「独特の文化もあり」
「そのこともいいですね」
「そう思います、ただ」
 ここでだ、畑中さんはこうしたことも言った。
「あそこはあそこで」
「やっぱり暮らしていると」
「困ることもあります」
「台風ですよね」
 僕は真っ先にこれを話に出した。
「あそこは」
「はい、何といってもです」
「沖縄は台風に悩まされていますね」
「古来から」
 このことは本土のそれよりも遥かにだ。
「そうでした、ですから」
「お家もですね」
「低いのです」
 つまり一階建てなのだ。
「重心を低くしています」
「そうですよね」
「そこがです」
「沖縄の悩みですね」
「台風ばかりはどうしようもありません」
 天災、それはなのだ。
「地震と雷、火事もそうですが」
「本当にそうですね」
 僕は畑中さんのその言葉に苦い顔で返した、そしてまたあのことを思い出してそのうえで畑中さんにこうも言った。
「地震も」
「特に、ですね」
はい、僕はその時生まれてないですけれど」
「お話は聞かれていますね」
「よく」  
 そうだとだ、僕も答えた。
「何かと」
「最早神戸ではですね」
「あの地震は忘れられないものになっていますね」
「日本は昔から地震に悩まされていました」
「世界一の地震大国ですよね」
「そうです」 
 その通りという返事だった。
「戦争で死ぬよりもです」
「地震で死んだ人の方がですね」
「多いかも知れない位です」 
 古来より地震が起こってきたからだ、江戸時代にしても何度起こったかわからない。安政の大地震にしても。
「それだけ多いので」
「だからですね」
「神戸でもです」
「はい、子供の頃から聞かされてきました」
 僕は自分でも沈痛な顔になっているのがわかった、そのうえでの言葉だ。
「阪神大震災の時のことは」
「あの時神戸は壊滅しました」
 文字通りだ、そのことも言われてきた。
「私もそれを見ました」
「畑中さんはあの時は」
「神戸にいました」
 まさにその場にだ。
「家族は全員無事でしたが」
「それでもですね」
「多くの友人、同僚、知人がです」
「そうなんですね」
「はい」
 畑中さんにしては珍しくだ、感情をかなり出していた。
「そうなりました」
「そうなんですね」
「はい」
「そうだったんですね」
「あの時神戸にいれば」
 それこそ、というのだ。
「誰もがです」
「あの震災を忘れられなくなりましたね」
「他の関西におられた方もそうです」
「やっぱり見たから」
「はい、そうです」 
 まさにそれが為にだった。 
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