FAIRY TAIL ある神使い達の伝説
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第十六話***名にかけてーーーー
X791 フィオーレ地方 クロッカス
「……えーと……魔力欠乏症だから……」
セブンはマントの裏に仕込んでいる薬草、服に仕込んでいる薬草、鞄に詰めている薬草等、持っている大量の薬草を睨む。
「これ、かな……どう思いますか、リーフィ」
『ああ、良いのではないか。合わなかった時の為にフラウの花、ミークの茎も用意しておけ』
「わかりました」
中から、三つの種類の薬草を取り出すと、
「チェンジ、パウダー」
呟き、魔力を込めて薬草を粉末化し、鞄から取り出した瓶に詰めた。
「……妖精の尻尾の……ウェンディさんに似た魔力の人、居ますか?」
隣で黙っていた少女に訪う。
リサーナは顎に手をあて、
「滅竜魔導士の……ナツかガジル……ラクサスはどうかしら。そうだ、同じ様に空気系の魔法使うからクウヤでも……いいえ、多分駄目だわ……難しいわね」
「なら、取り合えずは応急処置で……んっ」
瓶の中に粉末がギリギリ溶ける量の水を入れ、魔力を籠める。
その作業を用意した三つの薬草×二人分の計六回したセブンは手で汗を拭った。
それと同時に、ダンと音をたて、五人の人物が入ってくる。
ナツ、ルーシィ、グレイ、エルザ、エルフマン。
大魔闘演武の予選突破をついさっき果たした五人だった。
「ウェンディ!!」
「うわっ!?魔力欠乏症は、安静にするのが一番の薬なんです、落ち着いてください」
「……あ?」
今にも叫ぼうとしていたナツがセブンの顔を見る。
「誰だお前?てゆーか、評議員?」
その言葉を聞き、エルザが顔をしかめる。
「確かにその服……評議員か、なぜこんなところに」
「……っ、今回はまだ何もしてないわよ」
ルーシィも声をあげた。
リサーナが慌ててとりなす。
「セブン君はね、倒れてたウェンディとシャルル運んで、さらに応急処置まで施してくれてたのよ。感謝しても、文句言う事はないし……ってか、ルーシィ、まだ何もしてないって、今から何かするつもりなの?」
「 "あたしは"、何もする気ないわよ。でも、ナツ達がねー…… 」
「オレは何もしねーよっ!」
「静かにしてくださいっ」
「静かにしないかっ」
ルーシィの言葉に反応して、叫んだナツをセブンとエルザがたしなめた。
「ナツさん………」
ベッドから微かに声が上がる。
「あっ、気付きましたか、ウェンディさん。魔法評議院のセブンといいます。唐突で悪いんですが、何があったか、思い出せますか」
「すみません、よく…思い…出せ…ない…」
ウェンディは身を起こそうとして、うめく。
「ウェンディさん。貴女は、魔力欠乏症にかかっています。えっと…一度に大量の魔力を失った為に全身の筋力が低下しているんです。しばらく安静にしていれば少しずつですが回復しますよ……無理しないでください。取り合えず体を回復させるのが先です」
「その坊主の言う通りだよ」
デザートピンクの髪の老婆が入ってきた。
「ポーリュシカさん!!?」
「何でここに」
妖精の尻尾の顧問薬剤師、ポーリュシカである。
「一度に大量の魔力を?」
「一体……」
「よく……思い出せないけど……黒い動物のような……うう……」
何とか記憶を引き出したウェンディは、少しの言葉を紡ぎ、うめいた。
「無理、しないでください」
布団の中でウェンディは手を握る。
筋力が低下し、少し力をこめても激痛が走るのに、ぐっと手を握った。
「みんな…ごめ……せっかく……修行…したのに…私……出られなくて…」
ウェンディは双眸に涙を溜めた。
脇で話を聞く皆、表情を歪める。
「エルフマンさん……私の代わりにお願いします」
エルフマンは決意を込めて、言葉を紡いだ。
「おう!!まかせておけ」
ポーリュシカはセブンを除いた六人と一匹を叩き出す。
「さぁ、出ていきな。今は安静にしてなきゃダメなんだ」
一人叩き出されなかったセブンは
「あれ?オレは……」
と呟く。
「この薬、あんたが作ったものだろう。よく出来てるし、薬草の選び方も考えてある……一回手にかけた患者は最後まで診てやりたいだろう?」
「あ……ありがとうございます」
ポーリュシカの言う通り、一回手にかけた患者は最後まで診たいと思っていたし、また、腕の良い薬剤師のポーリュシカの手際も近くで見たかったセブンは、素直にお礼を言った。
その横でもう大魔闘演武出場は無理と考えたウェンディはシャルルを抱き、涙を漏らす。
「メソメソするんじゃないよ」
「だって……」
「大魔闘演武は7日間かけて行う祭りです、回復したら本選に出られますよ」
見かねたセブンの一言で涙が止まる。
「坊主の言う通りだ。妖精の尻尾顧問薬剤師の名にかけて必ず直してやるよ」
ウェンディから、笑顔が溢れた。
後書き
えっと……大魔闘演武開幕は次回になります、でも、次回必ず開幕するので!
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